ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ブルーアース、 ( No.2 )
- 日時: 2008/11/02 19:35
- 名前: Colins ◆ArbPmTgg$J (ID: zflF3NFd)
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「ねえ、ヴィルガット。ここはどこなのか知っているのかい?」
「てめえ……餓鬼のくせに生意気な口を聞くんじゃねえ! 俺様は悪魔一の天才だぞ、敬語を使え、敬語を!」
ヴィルガットは鼻を高くしてそういった。それが可笑しくて僕は苦笑しながら、
「はいはい、悪魔一、いや……世界一の天才だったね」
といった。
僕らは今、長い長い道を歩いている。なぜ、僕はこんなところにいるのだろう。なぜ、僕は悪魔なんかと一緒に居るのだろう? 多分、それは一昨日ぐらい前の話しだったと思う。
僕は、僕として人間に生まれた日からずっと手に持っていたものがある。それは、とても小さくてとても輝かしい何かの、カギを握って生まれてきた。
だんだんと成長するにつれてそのカギもどんどんと大きさを増していった。
と、いっても家のカギと同じくらいの大きさなのだが。そのカギを手に翳すとくっきりと鳥のような何かの紋章が浮きあがる。
僕以外の人がそのカギに触れても熱くてとてもじゃないけど触れないらしい。だからいつも僕は首にかけて隠し持っている。
そしてある時、僕は見つけてしまった。金色に光る変なトビラを。学校の帰り道遊び半分で知らない路上を通って帰っていた。
知らないところに迷い込んで、付いたのが謎のトビラの前。トビラの中心には僕の手に浮かび上がるあの紋章が大きく描き出されていた。もっとも、あと知らない紋章が三つあったけど。
僕は確認まぎわに手にカギを近づけて紋章を浮き出させた。そしたらこう……なんか分からないけどピカーッと自分が光ってビューンって真っ白な世界に飛ばされて瞬きを一回したら、ドスンって悪魔の上に落っこちたのさ。これが悪魔、ヴィルガットと人間、アレールの出会いだった。
「ちょおまえ……ちゃんと聞いてんのか? おいっ! 目ぇ覚ませ!」
ヴィルガットに怒鳴られて回想から目が覚めた。
「ああっ……も、勿論聞いていたともさ! ヴィルガット」
悪魔、ヴィルガットは目を細めてぼくをにらんできた。悪魔ながら怒らせたとさぞかし後悔するぼく。
「なら、さっき俺が言ったことをすべて残らず言ってみろ! え?」
そういった悪魔はぼくをからかっているみたいでなんだか腹が立った。けど、
「……ごめんなさい。本当は聞いていなかったんだ……」
聞いていなかったぼくも悪かったと後で自重する。