ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ブルーアース、 ( No.3 )
日時: 2008/11/02 20:05
名前: Colins ◆vIqTCnFW$M (ID: zflF3NFd)



「じゃあ、もう一度だけ言ってやる。次はちゃんと漏らさず聞いておけ」
 ヴィルガットは『しょうがねえ』とかぶつぶついって、もう一度僕に話してくれた。そこがヴィルガットの優しさなのだろうか?
「俺様は、この道を知っている。いいか? ここから少し先に行くと白い服を着た、死神が居る。そいつらはトビラの番人だ」
「えっ! じゃあこの道はあの金色の輝くトビラに向かっていたの!?」
 ヴィルガットは首を少しだけ縦に動かした。そして、
「で、だな……死神は、神の一番偉い奴ににこう言われたんだ。トビラの中へ誰も入れてはいけない。クリスタル・エントラーゼ、つまり俺達の持っているこのカギのことだ。それを持っているものは即殺してしまえ、その他の迷える子羊達は丁重に記憶を奪って追い返すようとな」
 そんな……。僕は自分の肩をぎゅっと握り締める。小刻みに震える肩。その神が余りにも恐ろしくて、
「……帰ろう、今なら戻れる! 早く帰ろう! ヴィルガット」
 と言ってしまったことに後悔する。でも、だって……。うん、誰だって死ぬのは怖いんだ。
 ヴィルガットを腕を持ったら僕よりも小さく小さく震えていた。
「俺様は戦闘民族だが、死神には勝てない。だけどな! 超人体は勝てるのを知っているか」
「そ、そんなのしらない……初めて聞いたよ、そんなこと——」
 ヴィルガットは急に立ち止まって、ずっと下を向いている。
「どうし——……っ!!」
 ヴィルガットはこの世にないほどの恐ろしい顔で、僕を切り裂こうとした。その時の悪魔の爪は恐ろしいほど長く、上半身と下半身が二つにばらばらになるんじゃないかってほどのスピードで僕に向かってきた。
 でも、ヴィルガットは僕を何度も何度も切り裂くけれども、まったく痛くないのは何故だろう。
「なっ、何をするんだよ!? 死ぬところじゃな——あ!? ちょ……」
 僕はそう言って気づいた。ヴィルガットの攻撃は確実に僕に当たっていたはずなんだけど、僕はまったく傷ついていなかったのだ。
「え——? なんで僕……当たってないの……?」
 自分の目を疑う。かすり傷すら残っていなかった。
「ほら、な。お前は多分紺碧者なんだ。スローインの予知能力でどこに当たるか予知し、雨雲能力の"霧隠れ"で傷ついてしまう自分の体の一部を消していたんだ」
 い、意味が分からない。ただ、僕が超能力者なんだっていうのは分かった。
「じゃあ、じゃあ僕は……人間じゃないの?」
「いや、人間だ。ただ、超人体と人間の間に生まれた紺碧者だがな。その印にお前は紅と蒼のオッドアイなんだ」