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Re: ブルーアース、  3 ( No.6 )
日時: 2008/11/30 20:57
名前: ゆな ◆bmuZCl1W#A (ID: 5xRuHQIJ)



「ちっ」
 ヴィルガットはそう呟いた。そのとき、クラシスの振り下ろした剣がヴィルガットの頬にかすった。
「ふ……。一時は最強の悪魔と謳われたお前もよもやこんなもんだとは。落ちたものだな」
 クラシスは一向に疲れを見せず、体系にあわない剣を振り回している。一方のヴィルガットはさっきの攻撃から動きが鈍くなっている。
 心臓が、ドンッドンッと高鳴るのが分かる。見ているだけでも精一杯の僕は、足の力が抜けてへなへなと座り込んでしまった。
「お……お前はゴールト・ストンクに殺されたんじゃなかったのか!」
 ヴィルガットが話しかける。でも、戦いの手は緩まない。ゴールト・ストンクって誰だろう……。
「そこまで情報が伝わっていたとは……ああ、殺されたわ! 憎きあいつの手でね!!」
 女は空中に飛んだかと思うと、反り返って一回転空で周り着地した。
「……以前のストンクは大神西院様のお告げを聞き私達、神に知らせるという役目をしていた。だけど、あいつは裏切った! 超人体のやつらと手を組んでいたの」
「超人体……? やつらって……超人体は悪者なの?」
 好奇心が沸いて、つい僕は口を挟んでしまった。ヴィルガットは僕を睨む。
「悪く言えばそういうことになる。そして、話はまだ続くんだ」
 僕達はとても残酷で冷徹な話を聞かされたんだ。

 ストンクは影で超人体の一部の悪質な組織の人間と手を組み、本来は他の種族に大神西院様のお告げを伝えてはいけないのだけれど、組織に教えた。
 ある日、神たちはいつものようにストンクに呼び出され、お告げを聞いた。内容は、こうだ。
「クリスタル・エントラーゼを持った者達が動き出した。四人を集めてはいけない。調和した世界などなかった。争いもない今の世界のままでいいんだ」と。
 ストンクはそれを超人体のやつらに、直接教えた。けど、なぜ他の世界の人と逢うことが可能なのか。
 それは、組織の中の誰かがクリスタル・エントラーゼをもっているからだ。
 クラシスはこっそりその会話を聞いてしまったのだ。そして、組織にその場で殺された。
 だが、大神西院様が自分の命と引き換えにクラシスを生き返らせた。

 ヴィルガットもここまで聞いて、口を閉ざした。僕もだ。言う言葉が見つからなかった。