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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.120 )
- 日時: 2009/01/03 18:05
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
- 参照: 自分は、なにもしていないをしているんだ!
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体を切り裂くような痛みが全身に走る。今まで体験したことの無いような刃物で全身を刺される痛み。伊織はそんな体験はしたことは無いが、なんとなくわかった。もう目を開ける余裕すらない。力を抜くと、今にも胴体が切り離されそうだ。目蓋の裏側を何秒見たことか。いや、何分か。痛みがだんだんひいてくると目を開けた。目を開けて真っ先に見たのは瑞と苑の姿。さきほどとなんら変わりは無いようだが、雰囲気が違う。周りにあるもの全てが吸い込まれそうな……そんな雰囲気だ。
「さあ、一仕事行って来る。お前さんたちは……そこでぼーっとしてな!」
言うが早いが、空中に飛び蹴りを入れる。隣では、苑が同じようなことをしていた。さきほどの蹴りとは大きく違っていた。虐子神の表情が歪む。伊織と勇は、いつのまにか笑顔になっていた。これなら勝てる! そう信じて疑わなかった。その矢先の出来事、今度は瑞と苑の表情が大きく歪んだ。
「こいつは人質に貰った。……もし動けば殺すよ」
勇が、空中に浮いている。足をじたばたさせていた。
「くっそ……勇、大丈夫か!? 助かる方法は他に無いのか?」
「助かる方法……。あれしかないわよ? いくら生気を吸ったからって人質を無傷で救出するなんて」
「そうさね、あれ……をやるのは危険だよ」
あれ……? 伊織はあれとはなんなのか疑問に思った。あえて、その作戦を隠すような言い方だ。それだけ難しいことなのだろうか。あれ、とはなんなのか聞くことにした。
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