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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.13 )
- 日時: 2008/10/19 18:21
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
3
勇は奇跡的に命は取り留めた。しかし、入院生活が続くそうだ。伊織は、毎日勇に病院まで会いに行った。
ある日の晩御飯のことだ。伊織の好きな鳥のから揚げが出たことでテンションがあがっていた。まるで、えさを与えられた子犬のようだ。
「いただきます!」
伊織の母、紗江子がナスの味噌汁を持ってきた。しかし、伊織はそれにも目もくれずから揚げに箸を伸ばした。晩御飯の途中、話が盛り上がってきた頃だった。紗江子が思い出したように「あ」と、声を上げる。
「どうしたの、お母さん」
伊織が口いっぱいにご飯をほおばりながら言った。紗江子は、少し困った顔をしながら伊織を見た。そして、迷ったように口をあける。
「あのね、駄菓子屋のおばあちゃん、菊さん死んじゃったらしいのよ。死因は、心臓麻痺だって」
——だから、あの時居なかったのか。けど、おかしい……。
また、伊織はおかしいと感じていた。駄菓子屋のおばあちゃんこと菊は、いつも元気だった。しかも、最近では、死ぬ人が増えてきている。交通事故、水死、持病の発作、どれも突然、いきなり起こったものばかりである。伊織は、疑問を感じつつご飯を食べていた。
「最近死ぬ人増えてきてない?」
「そうね。だから、あんたも遊ぶ時は十分気をつけなさい? 昔からあんたは、落ち着きがなくて」
紗江子が怒ったようにいった。伊織は、このまま叱られることを悟って、いつもより早く晩御飯を食べ終わり部屋へ戻った。
伊織は部屋でも、おかしい、と考えていた。
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