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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.141 )
- 日時: 2009/03/22 09:01
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
- 参照: 鬼若子、姫若子とかいう題名の小説作ろうかなぁ……。この戦国武将はドラマになってほしいなぁ
13
「やーっと終わったんだねぇ……」
少女は言った。満足気に、どこか寂しげに。いつも青白い頬が桜色に染まっているのを鏡で確認すると、今度は隣に居た女性に振り返る。
「あいつが居なくなってから元気になってきたよ。そういう面ではあいつに感謝すべきかねぇ」
「そう……かもね」
らしくないじゃないか、と口から出そうになったが直前で止めておいた。この夏は彼女にとっても自分にとっても今まで以上に、大変なことがあった。それはこの少女も十分わかっているはずだ。
「そういえば、秋が来たねえ」
その言葉に、彼女は小さく頷く。景色は、夏の真っ盛りのような緑色ではなくなってきていた。見る人によっては、秋だというくらい、赤と緑と黄色が入り混じっている。
「……やっと終わったんだよね」
小さくか細い声に、少女は振り向いた。そして、満面の笑みでこう答える。
「そうだね」
終わったのだ。やっと。
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