PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.26 )
- 日時: 2008/10/29 19:44
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
6
葬式続きの日が一段落したある夏の昼間のことだった。久々に、友達同士で海へ出かけていたのだ。しかし、事故で入院していた勇は杖を突きながら皆のことを見守っていた。
「一番のり!」
甲高い声が響く。日野翔子は小さいながらも持ち前の運動神経で皆より早く、海へとついた。翔子は、素早く準備体操を済ますとすぐに海へと飛び込んだ。穏やかな、波が翔子をつつむ。
翔子が、海水浴を楽しんでいた時、遅れて皆がやってきた。そして、太陽が照らしている砂浜を海一直線に駆けていく。伊織と勇は、古びたベンチに腰をかけながら見守っていた。
「あのさ、よく最近さ、人が死ぬじゃん? 祟り……とかなのかな」
はしゃぎ声が聞こえる。そんな中、伊織の重々しいお声。勇は手をわざとらしくあごに当てて考えた。
「そうなのかもな」
勇は遠くを見ながら少し笑いがちにいった。伊織は、それにつられて少し笑ってしまう。のどかな時間が流れる。最近ではめったに見られない海で遊ぶはしゃぎ声。それを、心地よさそうに聞いている伊織と勇。
「祟り、調べてみないか?」
のどかな時間が続く。伊織は少しだけ、真剣に、けどそことなく面白そうに言った。
「面白そうじゃん。俺も調べるよ」
勇は、ベンチをゆっくり立ち上がると皆のもとへ、ゆっくりゆっくり歩いた。
PR