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Re: 島子の夏 ( No.27 )
日時: 2008/10/30 20:09
名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)



「お父さん」
「伊織か。どうしたんだ?」

伊織の父、一平がたまにの休日に帰ってきていた日のことだった。伊織は思い切って祟りのことを聞こうとしていた。一平は少しだけ首をかしげながら伊織を見つめた。

「祟り……ってあるのかな」
伊織は戸惑いながら言った。一平は少しだけ、瞬きをしながら驚いたように、目をまん丸に開けた。そしてくっく、と笑った。
「祟り、信じてるのか?」
「ん……一応ね」
伊織は、頭をかいた。まさか、父に笑われると思っていなかったからだ。一平は伊織が顔を赤らめて答えるのを見ると怪しげに笑った。伊織はそれを見て、少しだけ震えた。一平は口を大きく開けていった。

「あったよ、祟り」

「へ?」
間の抜けた声が出てしまう。一平はそれを見ると、またおかしげにくっくと笑い出す。伊織はその様子に、少しだけ怒りを覚えた。一平は、そんな伊織を無視して、話を続けようとした。

「昔な、女の子が死んだんだよ。親からの虐待で」

そして、祟りが始まった……?
伊織は、ありきたりな内容だと思った。しかし、父がの一言一言を、聞き逃さないようにした。

「それで、墓を作ったんだ。死んだ女の子と仲が良かった子供たちが。しかし、その親が墓を取り壊そうとしたら……」
「親が死んだ?」
一平の口をつぐむ。一平はうんうんと頷いた。

「それからというもの、墓を壊そうとすると必ず人が死ぬんだ」
ぐわっはっは、と奇妙な笑い声を上げて一平は新聞を読み始めた。伊織はどこか腑に落ちない様子で考えていた。