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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.30 )
- 日時: 2008/11/03 09:30
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
8
気付いたら、伊織は闇の中に居た。夢なのか、あいまいなリアルさを怯えた。走った。しかし、続くのは闇。かろうじて、自分の手が少しだけ薄く見える程度の闇。一瞬馬鹿な考えが浮かんだ。
祟り……?
しかし、伊織は首を振って考えを改めなおした。そして、深く深呼吸をする。そして、ゆっくり目をつぶった。
「元の世界に、戻りたい」
一言、目をつぶったまま伊織は静かに答えた。
「い、伊織君! 危ない!」
突然、原田晶、伊織の年下の遊び友達の真剣な声が聞こえる。伊織は、はっとして目を開けると今までの記憶が頭に流れ込んだ。公園で遊ぼう、その誘いを受けて自転車をこいでいた。
伊織が、横を見るとトラックが自分の目の前に迫る光景しか見えなかった。伊織は、叫ぶまもなく伊織の意識はそこで途絶えた。
「祟りだよ。虐子神様に祟りが起きたんだ。幸せな人は殺してしまえってね。あんたは偶然にも助かる見込みがあるそうだ。いいかい? この先には白の世界が広がってる。振り返らないようにすればあんたは助かるよ……」
微かに聞こえる、幼い女の子の声。伊織は、トラックにひかれる直前、淡い水色のワンピースを着た女の子の姿を確かに見た。
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