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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.32 )
- 日時: 2008/11/08 10:49
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
2章 0
「わからない、わからない」
黒髪をまっすぐ伸ばした子供の女の声。その隣に居るのは、微かに栗色の髪をした女性。黒髪の女は、腕に何個もの傷跡がある。あまりにも痛々しい傷跡。
「どうしてわからないの?」
優しく諭すような声で、栗色の女は言った。栗色の女は、白く美しい色をした腕を黒髪の女の肩に回す。黒髪の女はすぐにその手を叩いた。栗色の女は、それでも不気味に笑っている。
「あんたは、私の敵よ。私は祟りを起こす側だもの」
「あら? わらわは水色ちゃんの味方……とは言ってないわ」
不適にふふっと笑う。黒髪の女、は水色ちゃんという言葉に疑問を持っていたがやがて意味がわかったらしくああ、と小さく声を上げた。
「水色の淡いワンピースをいつも着てる……。だから水色ちゃんね。あの子は、祟りを止める側だっけね」
「そういうことだわ。だけど、わらわは、誰の味方もしないのよ。わらわは、傍観者なの」
そういうと、闇に消えてしまった。残された黒髪の女は、栗色の女が消えた場所をずっと見つめていた。
「気に入らない女ね」
そう言うが早いが、闇に消えてしまった。
残されたのは闇だけだった。
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