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Re: 島子の夏 ( No.57 )
日時: 2008/11/23 11:33
名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv



色は黒——いや、紫に近い。
空気は冷たい。
そんな場所だった。そこには二人の女性、瑞と苑が居た。二人の前に立っている一人の金髪の女性も居る。その女性の体は、水で覆われていた。瑞が、その
女性に対して優雅に、一礼をする。

「あの虐子神は……」
瑞が、威勢よい声を出した。しかし、水に覆われた女性が、瑞のピンク色した唇にそっと人差し指をつける。瑞は、少し唖然としたが、何か考えがおありなのだろうと思い、後ろへ下がった。苑は楽しげに、その様子を見ている。
「虐子神じゃなくて女狐ですよ? あいつに神なんてつけるのは、古代の神たちを貶しているようなものです……」
瑞は、ああそのことか……と胸をなでおろした。苑は、鞄から報告書を取り出すと流し読みを一回して深呼吸をしようとした。本番に備えて小さく声を出して読む。そして、本番——つまり、報告書を読み上げる時が来た。

「悠様」
苑が静かに言った。どうやら、金髪の女性のことらしい。悠と呼ばれた女性は、そっと耳を傾ける。苑は、続けて読もうとした。
「祟りはまだ続きそうです。現に島では何十人……正確には68人が祟りによって死亡しています。中には、偶然によって助かった居るようですが。わらわが、女狐に近寄ったところまだ悠様の存在はわかっていないそうです」
動揺も見せずに静かに言った。

「証拠は、わからないとぼやいておりました。一応、わらわは傍観者と名乗りましたが……。しかし、まだ怪しいです」
最後の一言を力強く言った。その一言に満足げに頷く。

「ありがとう」
「いえ、当然のことです」