PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.69 )
- 日時: 2008/11/24 14:42
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
- 参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv
2
駄菓子屋はしんと静まり返っていた。いつもいる顔がしわくちゃの優しいおばあさんが居ないことに気付いた伊織はどこかに出かけているのかもと思い、外にある木でつくられたベンチで、勇を待っていた。ふと後ろを振り返ると角度が急な崖がある。何故崖の横にあるのかというと元々この駄菓子屋は、普通の一軒家だったのだ。駄菓子屋をやりたいおばあさんには新たに土地を買い引っ越す余裕もなく、自分の家で駄菓子屋をはじめたのだ。幸い土砂崩れも無くいままで駄菓子屋は無事だった。
そんな駄菓子屋が立っている島に日光が降り注ぐ。顔からは、汗が流れた。伊織は30分くらい待つ。しかし、望んでいる勇の人影はない。伊織は痺れを切らして勇を迎えに行こうとした。
「おーい! 待ったか?」
威勢の良い勇の声がして振り返るとやはり、自転車に乗った勇が居た。それを見るなり伊織は大きく手を振り勇に駆け寄る。勇もまた、自転車の速度を早くした。瞬きする瞬間、伊織は自転車に乗った元気な姿の友人を見た。
瞬きした瞬間伊織が見たのは血まみれの友人の姿だった。道路の真ん中に空から降ってきた車に押しつぶされた状態で倒れていた。伊織は声が出なかった。思わず息を呑む。そして、車が降ってきた上空を見た。上空には何もない。しかし、伊織のすぐ横にあるのは角度が急な崖。崖の上にある道路のガードレールが無残な姿になっていた。
運転手が手を滑らせて、崖から転落、偶然そこに居た中西勇が車につぶされる。これは誰が何を言おうと交通事故と言う名の不幸な偶然だった。
PR