ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 島子の夏 ( No.72 )
日時: 2008/11/24 15:03
名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv



久々に雨が降った。そのせいで、島の子供たちは退屈そうに部屋にこもって宿題をやっている。しかし、島の子供の両親の多数は葬式へ出かけていた。そのせいか、途中で宿題を投げ出すもの居る。

「めんどくさい!」
大きな声で、兄に向かって本を投げながら伊織が言った。頭を掻きむしりながら伊織は本を今度は蹴りはじめた。「これも一種の錯乱状態と呼ばれるのだろうか……」兄の伊鶴は、そんな表情をとりながら簡単に本をかわしながら本を片付ける。しかし、まだ伊織は本を投げたり蹴ったりしている。おかげで表紙が折れてしまっている本がある。少し、呆れた表情で伊鶴が言った。
「めんどくさいって……誰だって宿題はめんどくさいんだよ」
なだめながら言っても、伊織の耳には届かなかった。それどころか、宿題のノートを投げ出してくる。伊鶴は、椅子から重い腰を上げて立ち上がり伊織を軽く、うちわで叩いた。伊織は少し罰の悪い顔をする。

「お兄ちゃんは頭がいいから宿題なんて簡単なんだろうね」
「だったら、お前は早く宿題やれ」
優しく、弟をなだめると伊鶴は居間へ行ってしまった。

伊織の家は、島では珍しい和洋折衷の家だ。フローリングの床は、ぴかぴかに磨いてある。他の家は皆和風の家が多い。そのためか、紗江子は家の内装にこだわっている。例えば家具だ。洋室に合うようなシックな家具を置いている。物を壊したら他の家の親より数倍は怒られる。
今の状況は、伊織が間違えて壁に黒いボールペンで落書きをしてしまった。黒いボールペンで壁に紙を押し付けてメモを取っていたら手が滑って壁に黒いインクを残す状態になってしまった。

「ただいま」
不安が入り混じった母の声が聞こえた。伊織は焦りながら壁の落書きを見られないようにした。しかしそんな不審な様子にも気付かずに、紗江子は伊織のいる居間へと急いで走った。居間へたどり着くと震えながら口をあける。

「そ、葬式の途中でおじいちゃんがなくなったって……」