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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.92 )
- 日時: 2008/12/11 17:12
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
- 参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv
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……くそっ……どういうことなんだ!?
勇と分かれた伊織は今も走り続けていた。勇と分かれたが、黒いあの謎の物体は伊織は追いかけていた。走る速さも最初と比べると落ちている。何故こんなことになったのかわからない。伊織は何故こんなことになったのか——考えてみた。
何故なんだ? 祟り……が始まってからか……?
必死に考えをめぐらせつつも走り続けることは容易ではなかった。たまに落ちていた木の枝に転びそうになる。空を見上げると恐ろしいほどに真っ青だ。首筋から嫌な汗が出る。緊迫した空気に包まれている。そして、密かに勇のところへ黒い物体がいかないか……と最低な考えが浮かんでしまう。そして、もう一度しばらく見てなかった後ろを伊織は振り返る。
「あんた、本当に悪ね。友達の方に私が行けばいい? あの忌々しい女より気に入った! けど……ここであんたとはおさらばね。だって、幸せな子はいらないもの。親に愛されている子なんか! 私のように親に虐待されればいいのよ!」
——女の子の声が聞こえる。そして考える間もなく視界が黒に染まる。伊織は手足をじたばたさせた。どんどん体が、黒い物体に侵食されていく。息苦しくて叫ぶことが出来ない。そして、伊織の体が全部侵食された頃、伊織は森から跡を残すことも無く静かに、その場から消えた。
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