ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 島子の夏 ( No.95 )
日時: 2008/12/14 13:54
名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv



伊織は恐る恐る目を開けた。目を開けて見た景色は意外というべきか、島にある森……伊織がよく知っている森だった。見渡すと、木の板が地面に埋められている。木の板には、名前の部分は汚れていて読めないが、……ちゃんのお墓と書かれてある。何故か、木の板は途中で折れ曲がっていた。なんだこれ、疑問に思い墓に触ろうとすると目の前に黒髪の幼い少女が現れる。

「私のお墓に気安く触らないで?」

さきほどの声の主。感情も持ち合わせていないような無機質な声が響き渡る。伊織は驚いて数歩下がった。少女は、青白い肌をしていて今にも倒れそうなほど白い。少女は、細く白い腕を伊織の前に突き出す。すると、伊織の体は宙に浮いた。抵抗することなど出来なかっただろう。こんなことは初めてだから。伊織は、恐る恐る言った。
「な、なんだよこれ!? どうなってるんだよ!」
声が震えている。当然のことだろう。しかし少女は、奇妙なほど明るい声を上げた。
「教えてあげる。冥土の土産ってやつ? 私はね……ずっと昔に親に虐待されて死んだの!」

伊織は、前に父親が話してくれた話を思い出す。信じられない——そんな思いが沸いた。

「親に大事にされている子はむかつく。だから死んで!」
その瞬間、伊織は地面に叩きつけられる、と思った。何秒たっても痛みは無く皆無に等しい。地面に叩きつけられた感触すらない。むしろ、まだ宙に浮いている感じだった。目を開けると少女のほかに淡い水色のワンピースを着た少女が居た。