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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 島子の夏 ( No.99 )
- 日時: 2008/12/15 17:44
- 名前: 夢月 ◆F1AECCCN32 (ID: NbE37YYW)
- 参照: 少し腹黒いめんどくさがり屋の十二歳です。現実ではうるさいのは苦手ですね、はい……;;ファンタジーが死ぬほど大好きですv
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声がした方を振り向くと、そこには見覚えのある姿があった。
「ゆ……勇!!」
伊織はつい叫んでしまった。となりには、微かに栗色の髪をした……苑が優雅にたたずんでいる。伊織は少しびっくりしたが、後で聞けるだろうと思い平然を装った。
「さっき助けてもらったんだ。ところで……伊織は?」
「俺も。な、なあ。ここはどこなんだ?」
伊織が瑞に尋ねる。瑞は、苑と顔を見合わせたがやがて、伊織に顔を向ける。瑞は、お札を取り出すと、そこら辺の草むらに投げつける。煙を立てさきほどの黒髪の女性を似せた人形が現れる。
「これは、女狐……虐子神と呼ばれる。こいつは、幸せな奴を殺そうとしていた。しかし、私が伊織……お前を殺すのをとめてやったのよ! そしたら、怒った女狐がこの森でお前達を殺そうとしたってわけだ……。ここまでの話、わかったかい?」
瑞が一気に話す。苑は、人形をつついたり蹴ったりしていた。勇は、わからない……といった顔をしていたが、「そういうことか!」 と呟いた。伊織は、あの時の交通事故のことか……と納得したような表情だった。
「質問は終わりかい?」
「そ、その女性は?」
伊織は苑を指差した。
「わらわは、苑。よろしく」
伊織は、よろしくと返す。
「じゃあ、行こうか。女狐の居る場所へ」
苑が言うと、皆は白い光に包まれた。
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