ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 戦争ごっこ。 ( No.13 )
日時: 2010/02/07 18:04
名前: 桜菜 ◆7KBxRpu4sA (ID: a7B.qo42)

第8話『戦争其ノ壱 涼鈴中学校-③』
 〜副題・傍観し神〜

 ようやく現れた茅科の新人、宮沢明煌か——。奴はどんな戦いを見せてくれよう?

 ……ああ、このまま進めても良いが、まずは我の説明をしなければな。

 我は、神だ。もうすぐ神の座から降りなければならないんだがな。

 今までは宮沢明煌が一人称としてこの、物語と言う名の《記録》を進めてくれていたが、そろそろ我の仕事でもあるこの《記録》を引き継ごうと思ってな。これからは宮沢明煌に変わって我が、《記録》を行おうと思う。文句は聞かん。と言うか言うな。

 さあ、早速始めていこう。




 午後8時5分現在、体育館には相岡翔琉、校舎のA棟には椎原秋穂、B棟には菰乃部百合と例の宮沢明煌か。だが、ここに居るのは茅科だけではなかろう?

 ——ここは、B棟。

 そこには、4人居る。

「あ、明煌。ここに来たんだ」

 百合は少し嬉しそうに明煌に言う。今、殺し合いをするのであろう人間がする笑みではないんじゃないか? この微笑み。

「ああ、ここには誰も居なかったからな・・・って、あっ」

 明煌は少しマズいと言わんばかりの顔をする。

「え? 何……あっ!」

 百合は明煌どころではない驚きの表情を作る。結局、笑みは15秒ともたなかったな。

「あっれぇ? 知らねぇ顔がいんなぁ・・・鈴、こいつ誰?」

「さあ。でも、確か茅科中って3人しか居なかった訳だから、新人さんじゃない?」

 明煌と百合の前に現れた、この二人は確か……結城尋と鈴。双子だったはずだ。二人は性格も容姿も似ていない。実際、尋は自己中心的で、鈴は大人っぽい。

「へぇ。B棟に誰も居ないからと思って来てみたら……思わぬ発見だな。まさか向こうさんが人数そろえちまうとはな——」

「でも、ポイントは増えるよ? 尋」

「そうだな。んじゃあ、慣れない新人と茅科の最弱さん。————二人とも《殺そう》ぜ。鈴、とりあえずはやるなよ」

 随分とペラペラしゃべる双子だな。それ故、隙だらけ。

「分かってる。私は尋と違って、運動は出来ないからね——。でも、『同じ人を二度連続に撃ってもポイントは1P』だからね。その時は私にもね」

「わぁってる。って、……チッ」

 尋は舌打ちをする。理由は簡単。————逃げたのだ。

 明煌と百合は、二人が話している間にこっそりと、いや、こっそりどころではなく結構おおっぴらに、この二人の居ない場所へ、逃げた。

「わー。逃げちゃったね。どうしよっか?」

「お前……。追いかけるに決まってんだろ」

「ですよねー。んー、この階にはまず居ないだろうし、ここ校舎の入り口だしこの校舎に居るにしても2階かなぁ」
 
「だろうさ。鈴は向こうの階段から、俺はこっちの階段から、——挟み撃ちにされちゃ、向こうさんだって適わんだろうよ」

 あと、言ってなかったが、この校舎は2階建て。他の学校は大体3階建てだったりなんだが、どうなんだろうな。明煌は平凡な学校といっていたが、ここの辺りは普通じゃないだろう? いや、そうでもないか?

 一旦は 鈴に対して呆れた表情を見せた尋だが、今度は不敵な笑みを作り、言った。



「さぁ——。殺ろうじゃないか。神に成るために」 


茅科学園中等部  明煌・・・3P 翔琉・・・5P 秋穂・・・6P 百合・・・2P
涼鈴中学校     尋・・・4P 鈴・・・3P 由良・・・6P 誠也・・・4P