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Re: 「超能力者」—僕の力— 第4話UP ( No.20 )
日時: 2009/09/01 19:34
名前: *銀* (ID: 1HizU38M)

第5話「運命が変わった日」

次の日。今は朝のHRの最中。僕はいつものように窓

の外を眺めていた。

担任の槌田が今日の予定、学習について話している。

その言葉も耳に入らず、ボーっとしていると、こんな

言葉が聞こえた。

「えー、最後になりますが今日の放課後、火気夜翔君

と、鈴本粉雪さんは残ってください」

「は?」

僕は思わず声を出した。しかし、この声は僕一人だけ

ではなく、翔もだった。

「じゃ、以上です!」

槌田は天使の微笑みをした。教室中に黄色い声が上が

る。

・・・アホか。

そう思う僕を除いて。翔がクルリとこっちを向いた。

「俺ら、なんかした?」

ほとんどめんどくさそうな声だ。その気持ちはよく

分かったが。

「さあな・・・」

僕は上の空で返事を返した。










放課後になった。もう外は夕焼けに包まれている。

校庭では野球部の掛け声や、サッカー部のホイッスル

の音が響いていた。

「遅れてごめんねー」

ガラリという音と供に、教室に入ってくると槌田は微

笑みながら謝った。

「で、なんすか?」

翔はあくび混じりに言った。槌田は言った。

「君達、超能力者だろ?」

ガタンッ。!座っていた椅子に翔は滑り落ちた。空気

が一瞬にしてほのぼのとしたものから、緊迫したもの

になった。

「なにを言ってるんですか、先生」

僕は焦りを隠しながら言った。

「そ、そうっすよ!」

翔も追い討ちをかける。

「ん〜、ちょっとここはうるさいね」

槌田は二人の言葉を無視すると言った。そして手を前

に出した。

「無音ノ世界【サイレンス・ワールド】」

そう言った瞬間、さっきまで聞こえてきた音が全て聞

こえなくなった。まるで鼓膜がおかしくなったようだ

った。

「えっ!?」

「どっ、どういう事だよ?」

僕と翔はそれぞれの驚きの声を上げた。

「これが、僕の力ですよ。あなた方が”光”、”闇”

というように、僕は”音”が能力なんですよ」

槌田はニコニコしながら言った。口が開けっ放しの

僕達になにも言わず。

「なんで、僕達の能力を知ってるんだ・・・?」

僕は不思議に思い、聞いた。

「僕の話を聞いていませんでしたか?僕は”音”を操

るんですよ。あなた方の話なんて聞こえていますよ」

槌田はフッと笑みをこぼした。どこか、馬鹿にしてい

るように聞こえる。

「では、本題に入りますか!」

槌田は真面目な顔をした。






なんで、この時、僕は放課後このクラスに残ってしま

ったのだろう。これから、辛く、たくさんの涙を流す

ことになるのも知らずに。この時から、僕の運命は、

変わり始めてしまったんだ———————。