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- Re: 「超能力者」—僕の力— 第2話UP ( No.8 )
- 日時: 2009/08/10 17:32
- 名前: *銀* (ID: 1HizU38M)
第3話「親友」
あの、”やっぱり、仲良くする”の言葉から早くも一
週間が経った。
「粉雪ぃぃぃ!」
クラスに入ると、翔はすぐに僕の名前を叫びながら呼
んだ。そして駆け寄ってきた。
「おはよ、翔」
僕は微笑みながら言った。ここ一週間で僕と翔は親友
というレベルまで仲良くなった。
人に向かって笑いながらしゃべるって、いつぶりか
な。
そう思いながら自分の席に着いた。
・・・そうだ。僕はここ数年、人としゃべっても絶対
に笑わなかった。笑うようになったのって翔のおかげ
かな・・・。?
僕は翔の面白い話を聞くのが好きだった。昨日のテレ
ビの話だったり、おとなりさんの可笑しな行動など、
一見つまらさそうな話でも翔がすると、とても面白い
話になった。
「なーなー、聞いてくれよ!また隣のバアサンがよ
ぉ!」
翔も席に着くと、後に振り返り喋り始めた。僕はその
話を笑いながら聞いていた。でも、違うことを考えて
いた。
翔は良い奴だし、相談すると、すぐに答えをくれたり
する・・・。—————でも、僕は絶対あの”力”だ
けは見せられい。もう、親友は失いたくない。!
僕は自分の手をギュッと握った。
「粉雪?聞いてんのか?」
「あっ、ゴメン・・・」
翔の言葉に僕はハッとなった。そして慌てて苦笑いを
した。
「昨日、ちょっと眠るのが遅くて・・・」
「ホントか?」
翔の真顔の顔を見て僕は心臓が高鳴るのが分かった。
どうして翔はいつも僕の気持ちを見抜いてしまうんだ
ろう・・・。
「ホントだよ!」
少し声を大きくして言った。翔はまだ不安そうな顔を
していたが、また元の話に戻り始めた。
僕はその話を聞いてまた笑っていた。
昼になった。僕と翔は屋上でご飯を食べることにし
た。ドアを開けると、誰もいなかった。周りには少し
錆び付いている鉄製品の机があったりした。
「風が気持ちいいなー!」
翔は背伸びをすると言った。
「そうだね」
笑いながら僕は答えた。翔は弁当を出すと、
「うっしゃー、食べるか!」
とお腹をさすり、言った。僕も弁当箱を出した。
その時、近くにあった机が翔の上に落ちてきた。
「翔!!」
僕は血相を変え、手を伸ばしたが、翔は気づかないで
いた。
”あれ”を使うしか・・・。
意を決すると僕は叫んだ。
「光よ、万物を弾き、盾となれ!」
すると、光は翔を球体に包み込んだ。
バアンッ。!大きな音がすると、机は翔の後の方に倒
れた。翔は呆然としている。
どうしよう、使っちゃった。!使っちゃった・・・。
僕はあたふたとしていた。
もう、翔とは親友に戻れない・・・。!
「ゴメンッ!!」
僕は涙を堪え、叫ぶと屋上のドアに手を回した。
「待てよ!」
翔が叫び僕の手を引っ張った。
「お前も、俺と同じ超能力者なのか!?」
一瞬の静寂。
「俺と同じ、超能力者・・・?」
僕は翔の言葉を繰り返した。
俺と同じ、超能力者・・・。?だったら、だったら、
翔も・・・。
「翔も僕と同じ超能力者なの?」
僕は恐る恐る聞いた。翔は笑いながら言った。
「ああ!そうだよ!」