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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 銀蝶マリア ( No.2 )
- 日時: 2009/08/29 22:54
- 名前: 霧茜 (ID: 7z3IIjJJ)
銀蝶マリア
「レイ」
一番最初は、姉だった。
軽い気持ちだった。ただ日頃のストレスをぶつけたかった。
でも、そうだとしても、まさかそんなことになるなんて思ってもなかった。
「レイなんて、死ねばいいのよ」
姉の言葉は、当時の俺にとっては毒でしかなかった。
姉が大嫌いだった。だから、ある日俺は言ってやった。
憎しみを込めて、姉を睨み付けて。
「お前が死ねばいい」
途端にもがき苦しむ姉。何が起こったのか、わからなかった。
あれから十数年。
俺はまた、人を殺した。
高校の数学教師になった俺は、あの日のようなこととは無縁の世界にいた。
はずだったのに・・・
教頭には飽き飽きしていた。
「高橋先生、今日この後空いてます?」
むさ苦しい香水をふりまいて、濃い化粧で塗りたくった笑顔を向けてくる女。
苦手、嫌いだった。
限界だった。
精神的に限界だったんだ。
全校集会の前に呼び出された。
「ねぇ高橋先生・・?」
甘ったるい声で、教頭がしゃべりだした。
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
「もう集会始まるんで、失礼します」
急いでその場から離れた。
集会中、ステージ上にいる教頭を見て、憎悪が湧き上がった。
死ねば、いい。
「それはね、異常でもなんでもないですよ」
どこかで、言われた。
黒い服をまとって、真っ白な肌。薄い微笑み。
「でも、もう2人も殺してるんだよ?」
「それは2人が悪いんですよ」
見方の様な口ぶり。
俺は信じていいの・・?
でも、それは夢の中。
俺の教え子の、唯一の見方。
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