ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 銀蝶マリア #2 ( No.6 )
日時: 2009/08/31 00:03
名前: 霧茜 (ID: 7z3IIjJJ)

銀蝶マリア
   「まいなす」



蝶々が、ひらひら。



教頭が死んでから、しばらく経った。
今日もあたしは夢の中。たくさんの扉の中。
でもここ最近、入る扉はいつも同じ。
黒い扉。

今日は職員室だった。でも、違う。
辺り一面血で真っ赤。ところどころ、肉片が無造作に落ちている。
「・・・・来てくれたんだ」
「約束は守りますよ」
教頭の席に座っている、高橋先生。
もう最初の様に目は隠してない。
真っ赤に充血した目。
「やっぱりね、不思議だよ。成沢さんは殺せない」
「確かに、あたしは先生と目が合っても、何も起こりませんね」
「他の人間は目が合った瞬間、ひきちぎれちゃったよ」
悲しそうに先生は言った。
「なんでだろうね。成沢さんには俺の目は効かないみたい」
「あたしまで肉片にされちゃ、たまりませんよ」
「そうだね・・・ねぇ、また来てくれる?」
「いいですよ。明日はどんな世界か楽しみですね」
明日。
先生は、こんな夢覚えてないけどね。



__________



ぴりぴり。
不快感。
学校でそれらしい不快感を感じたのは初めて。
強くはないけど、弱くもない。
誰が死ぬ?

振り返ってみても、生徒が多すぎていまいち見つからない。
まぁ、あたしには関係ないからいいけど。
死ぬんなら、学校以外で死んでほしいな。


「川本さん!」
「ん?」

呼ばれた方を向くと、最近仲良くなった子。

「お昼ご飯、一緒に食べない?」
「いいよ。食べよっか!」
「屋上いかない?気持ちいいよ!」
「そうだねーそうしようか」
屋上に向かっている最中、もうあの不快感は消えていた。


「はぁ〜やっぱり屋上って気持ちいいね!」
「そうだね〜」
屋上にでると、涼しい風が吹いてきた。確かに気持ちいい。
お弁当を広げて、気持ちいい風の中、食べ始めた。




「ん〜〜!よく寝た!」

「えっ?」
「?」

突然、真上から降ってきた声。知らない子。
「ん?あ、ごめんなさい。邪魔しちゃいましたね」
何組だろう・・ただ、なんとなく感じた。死の予知ではない。
この子、雰囲気が変だ。
「あ、いえ大丈夫ですよ!ねぇ川本さん?」
「え、うん・・」
あの子は笑顔のまま立ち去った。
なんだろう、あの笑顔。なにかがひっかかる。




__________



「この時間はやっぱり少なかったなー」

昼間は夜に比べると扉が少ない。
黒い扉もなかった。

でも、またおもしろい扉を見つけた。

蝶々がふわふわ飛んでる中、ぽつんと立ちすくむ男。
あたしはただそれを見てるだけ。
男は、蝶々を掴み、潰す。
そして微笑むの。


真っ白な、残酷なせかいだった。