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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 月 下 の 犠 牲 ( No.22 )
- 日時: 2009/10/04 18:50
- 名前: 月乃 葵 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: XlQIdkGw)
第八話
「さて……そろそろ帰った方がいいですよ」
ニコッと優しい微笑を浮かべ言う桜弥。時計を見れば午後六時。外はゆっくりと暗くなり始めていた。黙って伸びをする悠月。
「悠月、二人を送ってあげて? そろそろあいつ等が動き始める時間だ」
ため息をついて立ち上がる悠月。翡翠と來兎は悠月に睨まれて立ち上がる。悠月は「まったく……桜兄が行けばいいじゃろう」と言いながらドアに手をかける。
桜弥は苦笑いを浮かべ「お生憎様、仕事が溜まってるんですよ」と言う。悠月は「そんなの分かっておるわ」とだけ言い残し、部屋を出て行く。そんな悠月を慌てて追いかける翡翠と來兎。
「さて……仕事に戻らないと……」
フゥッと息を吐き立ち上がる桜弥。黙ってドアの前に立っていた流架の目が合う。流架は「あ……桜兄……」と言うが、桜弥はそれを完全に無視して、部屋を出て行く。
流架は少し悲しそうな顔をし「無視かよ」と呟く。紅零は何かを感じたのだろう。少し不思議そうな顔をした後「何かあった……?」と聞く。
「ああ。喧嘩したんや」
俯く流架。紅零は面白そうに笑い流架の顔を覗き込む。ため息をつく流架に紅零は「もともと正反対だもん。衝突しない方が可笑しいね」と言う。
流架の方は薄く笑って「そうなんかなぁ……」と言う。紅零は黙って頷く。それが追い討ちとなったのか流架の周りに負のオーラが漂い始める。
紅零は慌てて何か言おうとするが何を言って良いか分からない。窓が割れる音が響く。サッと身構える流架。
流架の正面に立っていたのは、金色の髪に青い瞳の少女……如月 茜(キサラギ アカネ)。茜は不思議そうに流架を見つめるのだった。
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