ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 月 下 の 犠 牲 ( No.25 )
- 日時: 2009/10/12 11:24
- 名前: 月乃 葵 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: xYJBB/ey)
第九話
「ふにゃぁ……着地失敗したと思ったらスペードマテリアル発見だにゃぁ。ついでにダイヤマテリアルの力も感じるにゃ……」
目を細めながら言う茜。スッと首につけていたチョーカーについた十字架に触れる紅零。辺りが黒く塗りつぶされる。楽しそうに周りを見回す茜。流架は何処からか、弓矢を取り出している。
「警戒しなくて良いのにゃ。番犬が居られちゃ僕だって手出しできないのにゃ。ま、ダイヤマテリアルを見たら帰ることにするにゃぁ」
そう言って姿を消す茜。目を見開いて弓矢をしまう流架。スゥゥッと黒く染まっていた部屋が元に戻る。それと同時に走り出す流架。
マテリアルとは素材のこと。超能力を持った人の中に六人のことをまとめて指して言うことが多い。その中に茜が言っていたスペードマテリアル、ダイヤマテリアルが入っている。
主に超能力を持っている人に与えられる呼び名は、天使や堕天使、翼などが最後に来る呼び方が多いが、マテリアルと呼ばれる六人には、最後に必ずマテリアルとつく。そしてマテリアルの前にはトランプのカードの名前がつく。
マテリアルの中でも最強の力を持っているものをキングマテリアル、その下をクイーンマテリアルといい、他の四人はこの二人を守らなければならない。
「うにゃ。ダイヤマテリアルはっけーんだにゃ」
突然、桜弥の部屋に現れて呟く茜。桜弥はため息をついてノートパソコンを閉じ茜を見る。薄暗い部屋で白いカーテンが揺れている。
「ありゃ? ダイヤマテリアルには番犬が居ないのにゃ?」
不思議そうな顔をして言う茜。黙って頷きながらズボンのポケットに手を入れる桜弥。ニコォッと笑う茜。
「気が変わったにゃ。番犬が居ないのならリグ様のところに連れて行くにゃ」
桜弥は不快そうな顔をし、静かな声で「僕は行きませんよ」とだけ言う。茜は楽しそうに笑い「無理やりにでも連れて行くのにゃ」と言う。
黙ってポケットから手を出す桜弥。その手には血のように赤い宝石が握られていた。茜は鼻歌を歌いながら、剣を二本取り出し桜弥に襲い掛かるのだった。
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一部修正