ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: そ の 手 は 虚 空 を 掴 み ( No.4 )
- 日時: 2009/10/24 15:57
- 名前: 月乃 葵 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: xYJBB/ey)
第一話
賑やかな教室。ほとんどの生徒の肩にはサクリファイスが座っている。サクリファイスとは契約を交わしたものを、自分を犠牲に守る者のことである。
サクリファイスには知られている所で三つの種類が有る。一つはリーフィルと同じ妖精型。背中に羽があり、感情が無く小さいのが特徴である。時にリーフィルのような例外も居るのだが。もう一つは動物型。動物の形をしたサクリファイスである。
そして、人間型。人間型は普通の人とたいして変わらない。感情もある。違いと言えば異常なほどの戦闘能力の高さである。
そして、ほとんどのサクリファイスが妖精型、又は動物型である。人間型はほとんど居なく、珍しい上に強い。
賑やかな教室に翡翠とリーフィルが入ってくる。途端に静まり返る。なにやら恐ろしいものを見るような目。翡翠はそんなの気にしていないらしく黙って席に座る。
最後に入ってきたのは、長い黒髪に、燃えるような紅蓮の瞳の少年。髪は邪魔なのか、赤いリボンで束ねている。彼の名前は紅蓮來兎。その後ろには桜梨。
言うのを忘れていたが、この学校は少し特殊で、クラスが日によって変わる。だから、前の日は違うクラスだった人と、次の日は同じクラスと言うこともありえるのである。
「好都合ですわね」
にやりと笑う翡翠。リーフィルは嬉しそうに笑う。それに気づいたのか不思議そうな顔をする來兎。桜梨は無表情である。
「初めまして。感情を持った妖精型サクリファイスですか……珍しいですね」
優しい笑みを浮かべて翡翠に話しかける來兎。黙って頭を下げる桜梨。リーフィルは黙って桜梨を見つめる。少し困ったように首を傾げる桜梨。
「僕は紅蓮來兎。この子は、僕のサクリファイスの花椿桜梨。正式名はルゥナ。そちらは?」
優しい微笑を浮かべている來兎。翡翠はキョトンと來兎を見つめる。首をかしげる來兎。
「私は、月條翡翠ですわ。この子は私のサクリファイス、リーフィル」
丁寧に頭を下げるリーフィル。翡翠に手を差し出す來兎。その手を握る翡翠。
そんな二人のやり取りを興味有りげに見ている少年が居た。短い赤い髪。前髪で右目が隠れている。左目は紫色。名は奏紅流架。
「新種のサクリファイスと、感情を持った妖精型サクリファイスか……面白くなりそうやな。紅零」
「そう……。僕はどうでもいい」
流架の言葉に答えるように言う少女。肩より少し下くらいの長さの紫色の髪に、紅蓮の瞳。風音紅零。人間型のサクリファイスである。
「相変わらずやなぁ。まぁええけど。力試してみるか?」
「主人の好きにすれば?」
紅零の言葉を聞き、流架が薄く、不気味に微笑んだ……。