ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.129 )
日時: 2010/01/16 20:27
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

 「 舞、もう行くの ?」
 「 うん……祐樹の嘘に気づかれる前に…」
なるべく持ち物は少なめにして、カバンもショルダーのものにした。
準備する舞を見て、涼は未だに戸惑っているようだった。

 「 お……おい、もう行くのか—— ?」
頷くと涼も遅れて準備を始めた。
少し戸惑っているようだった。

 

 「 ———じゃあ、行ってくるよ……」
玄関で靴を履いた二人は部屋のほうを振り返った。

 「 ……二人とも、気をつけて」
言い聞かせるようにして孝助が言った。
少し遅れて、ダルシーと沙紀が玄関のところまでやってきた。

やはり、この〝作戦〟に乗り気のものは誰もいないようだった。

 「 怪我だけはしないで……ね ?」
 「 大丈夫、だから心配しないで」

  そう言ったはものの、はっきりいって成功するかどうか———

沙紀が舞と涼の前に手を差し出した。
その手のひらの上にはひとつの銀色の鍵がのっていた。



ふと、舞は自分の投げ捨てたホテルの鍵を思い出した。


 「 ……これ、ここの部屋の鍵。もし、ウチらがいなかったら——」 
 「 そ……そんなこと言うなって ! ! 」

そう言ったが、一応のため涼は鍵をもらっていた。
そして、舞に鍵を渡した。
 「 お前が持ってろ」 
 「 う、うん——」
  
  帰ってもいないって———

不安は募るばかりだった。
舞は一刻も早く作戦を終えたかったため、ドアノブをまわした。

 「 じゃあ……行こう」
 「 おう……」
涼は最後に振り返って、残る三人に小さく手を振った。


 「 ———行って来る」
 「 ……行ってらっしゃい 」


ダルシーは無理やり作った笑顔で小さく言った。

舞もその時は笑った。



しかし、それも作り物の笑顔だった。
外に出て見ると、真冬の夕方ということもあってかなりの寒さだった。

 「 …よし、警察もいないっぽいな。行くなら今だ」
 「 そうだね。…頑張ろう」


涼は頷くと携帯を取り出した。

 「 ……あんまり遅くならないようにしたいな」


ぎゅっと舞は沙紀から貰ったひんやりと冷たくなった鍵を握り締め、カバンに入れた。



そして二人はその場を去り、マンションを出たのだった。