ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.135 )
日時: 2010/01/16 20:30
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

校舎の裏側に回ってみると、確かに職員室付近の窓ガラス一枚が派手に割られていた。
ちょうど人一人分が入れそうなぐらいの大きさだった。

周りに誰もいない事を確認し、急いで窓の縁を飛び越えて三人は銃を構えた。
  
舞は一人頭の中で葛藤していた。


  .殺.さ.れ.る.分けではない……
  けど.奴.ら.はもう.容.赦.しない筈……

  生きるか


  .捕.ま.るか


  この二つの選択肢でどちらがいいのか——— ?
  






  いや、二つだけではないかもしれない——

 「 二階だろ、二年A組ってのは」
 「 そう……痛ッ ! ?」
 「 ! ? 」
手元を見ると、右腕に細い線上になって血が流れていた。
思わず血を目の前にして硬直する。

 「 ——大丈夫か ?」
 「 嫌だ……この位平気だって……ほら、急いで階段探そう」
 「 おう……」

全て会話は必要最低限は控え、ゆっくりと暗く埃っぽい校舎内を進んでいく。

 「 ……ガラス割っても警報が鳴らないって……廃校ですかね ?」
 「 そうかもしれねぇな…………ちきしょう暗すぎる……」

ときどき、ガラスの破片を踏んだりして出た小さな音で驚いたりしては、背後を振り返るの繰り返し。
運良く舞たちは誰とも出会うことは今のところ無かった。
しかし、いまだ三人とも銃を握る手に力がこもる。

 
 「 あ、あれじゃん ?」
ぼんやりと窓から射す月の明かりに二階へ繋がる階段が現れた。
そのことに安心感を抱いた三人は、無防備にも大きな足音をたてて階段に向かっていってしまった。





その三人の姿を、一人の少女が見つめていた。





階段を無事上りきると、廊下に出た。


 「 おわっ…… ! おい、押すなよ !」
 「 すっ……すいません……つい焦って……」
 「 静かに——」







  何これ————?


寒さで震える手でもう一度ライフルを握り締め、再び目にした。

涼、間崎もその先の光景に絶句した。




 「 どうなってるんだよ…… ! ?」
僅かに震えた涼の大声が廊下に響き渡った。

舞の正面の廊下は炎が燃え盛っていた。
窓が開けており、とても自然とは思えない。


  オイル———石油、それとも灯油—— ?


  罠に———ハマッた——— ?



 「 舞 ? ! ……早く ! 早く来て ! ! !」
どこかで声がすると思えば、それは電話から聞こえた香奈の叫び声だった。
上を見上げると、二年A組と黒文字で書かれたプレートが炎の明かりでギラギラ光っていた。

窓は開いているため、煙はいくらか外へは出ていたが時間もあまり残されていないと悟る三人。


  香奈はすぐそこ……助けないと………… !

しかし、炎がまるで壁のように立ち上っている為飛び越えることも出来そうに無かった。


 「 どうしよう———」


 「 助けて ! ! 早く———誰でもいいから———— 」




  聞くことしか出来ないの ? !



頭の中で何回も何回も響くように香奈の言葉が往復している。
その時——

 「 あ、ちょうどよかった…… ! 手伝ってくれ—ません ?」

舞、涼と間崎が振り返ったその後ろには赤い灯油のタンクを一つ抱えた少年が立っていた。

 「 あらあらあらあら……あはははは……誰かと思えば——」


もう一人、見覚えのある少女がおくれて階段を上がって来ては
タンクを持った少年の隣にぴったりと寄り添うようにたたずんだ。
 「 しおん………… !」
 
 「 あ……名前、覚えてくれていたんですね。ありがとうございます。
   けど、全然嬉しくないんですけど ?」
 



  わたし、生きていけるか分からないよ——ダルシー——