ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.141 )
- 日時: 2010/01/20 18:45
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
「 舞、悪いんだけど……ダルシーの携帯電話番号って登録してある ?」
「 え、あぁ……登録してあるけど——」
突然、香奈が手を合わせて「貸してくれない ?」と頼んできたので舞は驚いた。
「 別に、構わないけど——」
「 ありがとう……ほら、やっぱり連絡しておいたほうがいいじゃん ?」
確かに……一度電話がかかってきてから随分時間が経っている。
私がダルシー達を心配するのと同じ様に、ダルシーも心配して連絡を待ってるかもしれない……
「 そうだよね。じゃあ、これ……」
そう言って舞は自分の携帯電話を香奈に手渡した。
香奈は、ありがとう、と呟いてボタンを押し始めた。
少しの間を空けて、ようやく香奈は舞の白い携帯電話を耳に当てた。
間崎と涼も息を呑んで、出来るだけ香奈の持つ携帯電話に近寄った。
「 ——あ、ごめん舞じゃない……香奈。
……うん、そうそう。
ねぇ今ちょっと……水持ってこれない ?」
ストレートすぎる香奈の頼みにダルシーも絶句しているのが聞こえなくても分かった。
外に出る事さえ危険だというこんな時に、重い水を持ってここまでやってくるのは至難の技と言っても良い。
「 ——え……何 ? ていうか、今外にいるの ?」
「 はぁ ? おかしいだろ、それ」
確かに涼の言うとおりだった。
自分達が外に出たとき、ダルシー達は部屋の中にいた。
外に出る様子も見られなかった。
もしかして…………
最悪の事態が予想出来る。
起こっても不自然ではない、というより、当然なのかもしれない。
もしかしたら、ダルシーとかって……逃げてる ?
追われている身だったら水をここまで持って来るなんて出来ない。出来るはずが無いだろう。
「 ……嘘 ! ! ちょっとちょっと……どうするの ?
——無理だよ、こっちなんか動きたくても動けない状態なんだもの……——
……え、誰 ?」
その時、炎がどんどん拡大していることに気がついた。
まさか、こんなに早く火が回ってくるなんて……
これじゃあ、ペットボトル一本分の水があっても足りないよ————
まずい、本当にまずいよ……
「 えっ ? ! 今、今来るの ? !
……まずいって…………うん……そうじゃなくて、危ないんだって……
——あ、待って————」
どうやら、一方的に切られてしまったのだろう。
納得出来ない、という顔付きの香奈は無言で携帯電話を舞に渡し口を開いた。
「 ……もう分かっているだろうけど、ダルシー達の居場所が警察にバレちゃったんだって——
で、今は適当に逃げているところ…みたい」
まるで風船がしぼんでいくかの様に香奈の声は徐々に小さくなっていった。
香奈だけではない、涼も、私もショックだった。
間崎は何となく状況把握出来たらしく、何か考え込んでいるようだった。
「 でも、今、此処に啓介が向かっているみたい」
「 マジで ! ?」
誰だか分からないけど、いいのかな
「 啓介って——?」
きょとんとした香奈は少しの間を空けてから先ほどの顔とは正反対の顔で答えた。
「 大丈夫、皆、私達の仲間 ! ! こっちに向かっているってダルシーが言ってた」
「 あ、よかった……」
でも、ダルシー達は助かってないし……
そもそも、囮となった裕樹の行方も気になるし心配なんだけどなぁ……
なんだ、私達だけ助かったって……
全然、良く無いじゃん。