ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.142 )
- 日時: 2010/01/23 21:09
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
メンテあったみたいですね(´・ω・`)
でも、デザインとか機能とかは前の方が良かった所も…あ、何でもないです。
この作品をかきはじめて四ヶ月経ちました
早いもんだw
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教室が黒煙に包まれ始めた時、ぼそっと涼が小声で言った。
「 換気しちゃ駄目だよな……」
「 まずいんじゃないですか ? 確か、火事の時は窓を開けてはいけないはずですよ」
涼が言ったとおり、換気しないと酸素が入ってこない。
煙いだけではなく、灯油の鼻をさすような香りに真夏の様な暑さという最悪な場に変わっていた。
「 でも、このままだと……」
「 大丈夫だよ、啓介が来てくれる !」
先程とは別人の様な明るさの香奈が、舞にとっては少し羨ましかった。
明るい人は、何だか一緒にいると窮地でも安心できたりすることがあるのを舞は知っていた。
「 炎が燃えるには酸素が必要なんです。
……窓なんて開けたら、外の酸素が一気に入って炎が強まり、運が悪かったら大爆発だって考えられますよ」
「 あぁ……なるほど」
間崎の言うとおり、確かにここで窓を開けたらまずいかもしれないとそう聞いて思った。
プシャァァァ ! !
急に何かか噴.出.し.た様な音と共に視界が一瞬で白に変わった。
「 ぅわっ !」
反射的に手で顔を庇うような仕草をして、身をよじるようにして後ろを向いた。
何……煙 ? !
とうとう.死.ん.だ.かと思って瞳を強く閉じるが、何も起きない。
おそるおそる瞳を開くと、真っ白い煙が霧のように辺りを包み込んでいたが、徐々に黒い人影が見え始めた。
「 あのー、すいませーん、生きてますかぁー ?」
聞いたことも無い声に戸惑ったが、すぐに声の主が助けに来た啓介であることに気が付く。
「 すいませーん……あのぅー、返事とか何か——」
視界がはっきりした所で、すぐ目の前に消火器を持った一人の少年が立っていた。
黒と灰色の薄い長袖の服とジーンズという薄着すぎる服装に目がいってしまったが、気付くと少年も舞の方を見ていた。
「 あ……こんばんは」
「 へ ?」
掠れたおかしな声を出した直後、この季節外れな少年が本当に啓介なのかと不安になる。
「……ケイス……ケ ?」
煙を吸い込みすぎたのか、変な掠れた声しか出ない。
機械が喋っているようだ。
「 あぁ、よく分かったね。僕、啓介ね」
手に持っていた物を見ると、消火器だった。
「 いやぁ……倒れていないか心配になっちゃったよ——」
そう言いながら、消火器を廊下に投げ捨てた。
周りを見渡すと、僅かに火が残っているだけで後は殆んど啓介が消火したようだった。
消火した啓介の足元には、今回活躍した消火器が二本転がっていた。
燃えたところは灰色に変わり、異臭が辺りを漂っていた。
「 ——よかったね、助かって」
啓介が場所に合わないような微笑を浮かべた。
私は自分が今さっきまで死ぬか生きるかの瀬戸際にいたという事を知り、
僅かに微笑することしかできなかったのだった。