ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Run, hide, shoot it, ( No.145 )
日時: 2010/04/27 17:17
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

どうやら逃げるという選択肢は、今、この瞬間舞達の中から消えてしまったようだ。

どうする。

半分腰の抜けている舞はそこから動くことどころか、指一本動かせなかった。
蛇に睨まれた蛙という言葉がぴったりな舞。

ゆっくりと頭だけ後ろを向いたが、失望した。

まさかと思ってはいたものの、やはり、そこには詩音と一緒にいたジスが棒立ちしていた。

そう、完全に挟み撃ちにあってしまっているのだ。

  挟み撃ちとは一人ではできないという欠点があるが、二人以上なら可能で……。

  そして人数も多ければ多いほど敵を圧倒させ、捕まえる確立もアップする————。

などと舞が半分どうでもいい考え事をしているうちに自然と最悪な展開へと流れていった。

詩音たった一人でいるわけではないということ頭に入れておいて欲しい。

ざっと三十人だろうか。後ろにいる人全員、中高生ぐらいに見えるのは気のせいではない。

  きっと裏で何かあいつ等に都合の良い事をする代わりに私達を……

ゲーム関係者としか考えようがない。
  でも、もしかして参加者だったり……

葛藤し続けている中、涼は舞の前で絶句している。
香奈といえば、目を細めて詩音の方を見つめている。

周りが暗いので目を細める意味はよく分かるが、流石に詩音にその目を向けるのはどうかと思った。

そして一番の問題は啓介だ。

詩音相手に余裕の表情だった。
別に詩音がとても強いという訳ではないが————。


それが気に入らない様子で詩音は舌打ちすると、後ろにいる人たちに何かを言うと自らは廊下の隅のほうへと引っ込んだ。

 「 ……何 ?」
小声で香奈が聞いてきたが答えはしなかった。
舞は今、啓介の両手にくぎづけだった。それもその筈、この瞬間、彼は銃を掴もうとしていたのだ。


それを見て、私もすばやく片手の銃を握り直した。
覚悟を決めたかのように——。

啓介は銃を一丁ずつ片手に持った瞬間、一斉にして詩音の後ろにいた中高生がこちらへ向かって押し寄せてきた。



その時、自分がうっすら笑みを浮かべている事に気がついた。