ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Run, hide, shoot it, ( No.152 )
日時: 2020/08/01 19:33
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: hsews.TL)


そこにいたのは。

「 やっぱりお兄ちゃん?!……こんなとこでコソコソ……!」


紛れも無い、間崎の1歳下の妹だった。
 
どうして彼女がここにいるのか分からない間崎。
まさか。

まさか妹まで自分はゲームに巻き込んでしまったのだろうか。
いや、そんな筈はない、と周囲を見渡す。

誰もいない。


「お兄ちゃん、お母さんが本当に……」
「未緒、頼む。頼むからここから出てけ」

ぽかんと口を開けて、自分を大きな瞳で見つめる〝未緒〟と呼ばれた妹はすぐさま首を振った。

「 駄目にきまってるじゃん!お兄ちゃん、またどっか行くんでしょ……!」
 
あぁ……そうか。

こいつもこいつなりに、僕のことを心配してくれていたのか……。
妹に心配されるなんて、と急に情けなくなった。


「お兄ちゃん、とにかく早く帰ろうよ」


何故か背後を気にする未緒に向かって歩いていき、その小さな肩をそっと掴んだ。
 
「ここを出て、すぐに警察の人がいるだろうから呼んで来て」

 
黙っている。


間崎も黙り込んだ。

それ以上自分が何かを言うつもりもない。


2人は黙ったまま、ただお互いを確かめるように見つめていた。

 

「本当に?行って、いい?」

僅かに震えている、彼女の唇から発せられた小さな言葉。
ゆっくりと頷き、未緒に向かって笑顔を向けた。

「 行って。間違っても戻って来ちゃ.駄.目だからな」


穏やかに、そして静かに間崎は言うと、未緒が教室からそっと出て行った。


頼んだよ。
もう.警.察を呼ぶ以外、どうこう出来る状況じゃないんだ。

  
未緒が階段を駆け下りた。

しかし迂闊にも大きな足音をたて、意識をそらしていたせいだろう。

彼女は完全に詩音の瞳に映っていた。