ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.59 )
- 日時: 2009/10/30 23:19
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
祐樹が舞と美希をグイグイ引っ張りながら走り、駅を後にした。
幸い、誰も着いてこなかった。
「 …祐樹、私は——。」
舞が無言で引っ張りながら歩き続ける祐樹に声をかけようとした時、美希の携帯が鳴った。
『 もしもし…今忙しいんだけど。』
電話だったらしい。
『 え ? 予定…。あぁ、…そう。分かった。じゃあ…。』
手早く美希は電話をすまし、鞄に入れた。
歩き続けて何分経っただろうか。
人の気配がない、殺風景な道を行く。
寒くて、手が震えた。
いいや、これは寒さのせいではないだろう。
先ほどのことを思い出すだけで、舞は膝がガクガクと震えてしまう。
思い出したくない。
消えればいい。
いらないものは、みんなデータのように簡単に消えればいい。
「 … ?」
突然、美希が足を止めたので、舞は後ろを振り返った。
「 どうしたの ?」
「 ううん。なんでもないの。」
美希……… ?
「 ただお礼と謝罪がしたくて。」
え…お礼 ? 謝罪 ?
何のこと… ?
「 裕樹ならとっくに気づいているでしょうけど…。」
そう言って、美希は舞に視線を移した。
「 今まで、同行させてもらったよ。アリガト。そんじゃ……じゃあね。」
「 ちょっと !! 美希…どういうこと ?」
「 私はBBRの仲間の一人。参加者がどう動くか観察していたの。…自分も同行してだけど。」
じゃあ…
じゃあ……
美希は…始めから……嘘を———。
「 また、いつか会おうね、舞。…生きてたらだけど。」
「 待って、美希、じゃあこれからどうするのの…?」
「 私 ? 私は仲間のところへ行くだけ。〝本当の仲間〟のね。…あんたのことなんて、知らないわよ。」
「 み……き………。」
「 私、あんたのことは友達だと言ったわ。以前はね ! でも、仲間なんて言った事はない。」
信じられない…。
舞は祐樹の自分の腕を掴んでいる手を振り払い、美希に向かっていった。
そのまま、頬を強く叩いてやろうとしたがあっさり腕を掴まれてしまった。
「 あんたも、私の事、仲間だと思ってないんじゃん。」
「 違う ! 違うよ…私、美希が———。」
美希は舞の手を放し、今まで通ってきた道を走っていった。
「 ………っ…。」
全部終わりだよ。
全部 消えてくれ。
舞はそのまま歩道に横になった。
祐樹から顔を背けた。
今にも泣きそうだったからだ。
「 ステハン…撃って。」
祐樹に向かって、涙声で舞は頼んだ。
これで終わりだよ。