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Re: 短すぎる怪談話  お客様大歓迎です! ( No.18 )
日時: 2009/09/12 17:50
名前: 生八橋 ◆QaaoALcZEs (ID: K75.VLwZ)

第4話 下

近寄ってきた看護婦さんは、聡さんの顔をじっと見つめていた。
やっぱり……この出っ張りが気になるのか……
そう思ったときに看護婦さんが口を開いた。
「あなた……お名前は? とてもすてきな方ですね……」
は? 聡さんは急いで鏡を見た。顔に出っ張りはない。
そういえば自分の顔を注意して見たことはなかったな。
俺、この顔結構いい方じゃないか?
「飯倉……飯倉聡です。」
「聡さん……すてきなお名前ね。」
流石俺。一発で女の子のハートを仕留めたぜ。
「これからお食事なんてどうでしょう?」
そう言って聡さんは自分の愛車に看護婦さんを乗せた。
聡さんが運転席に乗ろうとしたそのときだった。
「てめー。女連れなんて良い度胸じゃねえか。」
この辺りの、『彼女が居ない』と有名なやくざだった。
「兄ちゃん、ちょっと顔を貸して貰ってもいいかな? 」
聡さんは、ビクビクしながらも胸を張ってやくざの後を着いていった。
看護婦さんは、心配した顔でこっちを見つめている。彼女に笑顔を見せた。
「てめーな、俺が彼女居ないことを知ってて見せつけているのか? どうなんだよ! この野郎! 」
突然キレながら腹を殴ろうとやくざが構えた。
殴られる……!そう思って腹を押さえようとしたその瞬間だった。
聡さんはそのときに思い出した。嗚呼……そう言えばこのやくざ、人を殴って内臓破裂させたってテレビでやってたな……
被害者は死.んだんだっけ……俺もそうなるのかな……
あと、最近この人警察を脱獄したんだってな……
……あれ?おかしい。痛みを感じない。それどころか殴られた感覚もない。
自分の腹に目をやると、あの出っ張りがやくざの拳を押さえていた。
「なっ何なんだよっこれは……」
今度は顔面めがけて拳を放ってきた。聡さんの予想通り、出っ張りは顔に移動した。
「ばっ……化け物! うわぁぁぁぁぁぁ! 」
やくざはどこかへ逃げてしまった。
そして看護婦さんと食事を終えて帰宅した。
看護婦さん……綺麗だったな。明日もデートの約束をしたし。
この出っ張りも、以外と良いモンだな。なんてな。ハハ。
そしてその日の丑三つ時……
「おれは……無敵だぁ……」
そう寝言を言っている聡さんの体はどんどん大きくなり、六畳間の部屋を覆う程になった。
「俺は……無敵だ……」
その言葉を言い終えた瞬間、聡さんの体は破裂した。

______20××年7月13日(金)______
その日、丑三つ時に謎の液体が空から降ってきた。