ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 声—Il mio augurio— ( No.15 )
- 日時: 2009/09/11 17:29
- 名前: 黒月*綺空 ◆UvyP8R2qR2 (ID: 39gb1XuH)
- 参照: 基本は黒月*綺空ですがたまーに㍻ヤンデレ@黒月!に変わりますw 二次元から帰ってこれないw(( 修学旅行まであとまさかの二週間w 最近のブームは桃組+戦記とヘタリアです
*01*
La vita quotidiana che comincia a cambiare
春の花々の香りのするゆったりと暖かな風と桜の花びらが窓から流れ込む——私立クローチェ学園中等部二年七組の教室……。
四月六日、始業式の次の日。一時間目は新しいクラスに変わった為、自己紹介の時間となっていた。
「はじめましてっ。元一年八組の広橋 千波(ヒロバシ チナミ)です!! 今年度の昨年度と同じ、陸上部に入ろうと思います」
教壇に立つ小柄な少女——千波は元気よさそうにそう言うと、可愛らしい笑みを浮かべた。すると、教室からバーンッといった銃で胸を撃たれたような音が聞こえたような気がした。
千波はそれに気づくことなく「よろしくお願いします」とお辞儀をして、自分の席に戻った。
さざ波のようなクラスメイトの反応。教室はいっきにざわつく。——そんな中、一人、気持ち良さそうに眠っている人物がいた。
「あ……あのっ、次、あなたの番ですよ?」
千波は席に戻ると、困ったように後ろの席の人物の体を揺する。しかし、完全に寝入っているのか起きる様子がない。千波は、すぅと息を吸うと耳元で「起きてくだぁぁぁい!!」と叫んだ。
「ふぇ!?」
驚いたようにガバッと顔をあげるその人物。
その人物はとても可愛らしい容姿をしていた。
黒曜石のような神秘的な黒髪に、吸い込まれるような紫の瞳をしていて、肌は絹のようにすべすべで色白。ちょこん、とした鼻に可愛らしい口元。——女の子の理想である。
「……なんか、用?」
「あ、いえ……っ。その、あなたの番ですよ? じ、自己紹介……」
「ふぅん、そう」
その人物はめんどくさそうに立ち上がり、あくびをしながら教壇の上に立った。
「……柏崎 漆夜(カシワザキ ナナヤ)。元一年八組。性別は男。部活は美術部……」
必要最低限のことだけを、先ほどの可愛らしい人物——漆夜は言うと、さっさと自分の席に戻って行った。
そしてクラスメイトたちは漆夜のことをチラチラと見ながら「あれが噂の……」「意外に可愛いな」「でも、あんま話さないし、暗い奴らしぜ?」「てか、去年同じクラスだったの今はじめて知った」と言う声があちこちから聞こえた。しかし、漆夜はそれを気にすることなく、再び眠ってしまった。
(……不思議な人……。てか、同じクラスだったんだー)
千波はそう思っていた。
千波はチラッと後ろを振り向く。後ろでは漆夜が気持ちよさそうに眠っていた。時折、可愛らしい寝息が聞こえる。
「……柏崎、漆夜くんかぁー」
千波はそう呟くと、教壇の方に顔を向けた。
「あっ、あの……柏崎くん!!」
そして、千波は一時間目が終わるなり、後ろの席にいる漆夜に話しかけた。