ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:   暗闇に紅い薔薇が咲く ( No.168 )
日時: 2009/09/30 21:26
名前: b'`*)ノ桜姫⌒゜* ◆hjAE94JkIU (ID: 7xCImRS/)
参照: http://www.doumori.com/bbs_talk/show.php?kiji_id=332573

第3章 裏切りの涙 偽りの風
21話 虚無
夢を見た

遠い遠い昔の夢を

遥か昔……私がまだ「人間」だったころ……。




「フレデリカ様、このような場所にいられては困ります」

召使のリーチェが私に向って呼びかける。

『いいじゃない、リーチェ 屋上は風が気持ちいいんだから』

私は今、屋上で本を読んでいる。

「困ります、折角の御髪が痛まれますよ?」

『別にいいわよ』

リーチェは溜息をつくと、階段を上がり私に向ってこういった。

「フレデリカ様、貴女様は仮にも王の娘……少しは身分を弁えてくださ」

『分かってるわよ!』

「フレデリカ様!?」

リーチェの言葉を遮り、私は走り出した。

王の娘だから、王族だから、身分を弁えて……

何度言われたことだろう。

王族という理由で私は中々この城から出してもらえない。

『姫になんて……なりたくなかった』

不自由ばかりで……でも国民として生まれても大方父である王が決めた身勝手なルールに縛られる。

自由が羨ましい……。

風のように、自由になりたい……そんなことを考えている今の私は……

この先に起こる……悲しい物語をまだ知らなかった。



続く