ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:   暗闇に紅い薔薇が咲く ( No.93 )
日時: 2009/09/21 18:56
名前: b'`*)ノ桜姫⌒゜* ◆hjAE94JkIU (ID: z/mKt/FD)
参照: http://www.doumori.com/bbs_talk/show.php?kiji_id=332573

16話 憎しみの祭囃しは歌に乗り
暗い森の奥の奥を緋願花は微笑みながら歩いていた。

彼女にとっては風恋に仕事を届けるということが何よりも幸せなのだ。

一際暗い、開けた場所にある風恋の家にたどり着くと、玄関の前に風恋達が集まっていた。

*風恋目線*

『こんばんは……御姉様……こちらは……? 』

緋願花は深紅と虚ろな蒼翠色の目を丸くして食い入るように私達の横にいた、魔珠達を見つめた。

するとその背後から黄金の蝶と共に詩音が現れた。

『緋ぃ!! 久し振り! あ、この子達は新入りサンで右から魔珠、奈美、スィーレル、黒音だよ』

てきぱきと皆の自己紹介を済ませていく詩音。

『そうですか……では……こちらを』

緋願花は風恋に黒い封筒を手渡すと消え去った。

私は封筒を裏返してみた。

そこには紅いスペードと黄色いハート、そして小さいジョーカーが描かれていた。

『ジョーカー……? 』

私が首を傾げて考え込んでいると魔珠が言った。

『私達のスートは言ってませんでしたね……。私がジョーカーで奈美はエース、スィーレルはキングで黒音がクイーンですよ』

魔珠がていねいに説明してくれたおかげで理解できた。

つまり今回の仕事は……

『やぁった〜!! 久々のお仕事だよ〜っ!! ね!! レン! 』

大はしゃぎの燐獄……ずっと裏方だったから仕方ないわね。

『リン……五月蠅い』

……冷めてるわね、煉獄……。

ん? でも待てよ?

普通1人の標的の魂を回収するのに3人もいらないのでは?

———この私の疑問の答えは、すぐにわかることになるのだったが……。

今の私はそんなこと知る由もなく……。

『行くわよ』

私がそう言うと、全員うなずき各々指定の場所へ向かった。

血濡れた惨劇の宴のため……。

今宵も愚かな人間のために魔女は含み笑う。