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Re: 不思議な世界〜血の国〜03更新 ( No.21 )
日時: 2009/09/13 10:47
名前: 紅 ◆NC1AxUg.ec (ID: DrxGkANi)

04 鏡

「ただいまー」
やっと家に帰れた。
永遠に思えた時間から、解放された!
嬉しくてたまらなかった。
でも。
「麻由香! また今日も十点だったの!?
先生から電話あったわよ!?」
「ゲッ!」
思わず声にだしてしまった。
相変わらずだ。
私の家族は、全員教育熱心。
私を、超名門校に入学させようとする。
ほんと、バカみたい。
私がそんな名門校、入学できるわけないのに。
きっと、変なお嬢様とか、お坊ちゃんとかいるんだ。
そんなの嫌よ!
「さあ、さっさと勉強しなさい!」
また?
また、勉強しなきゃいけないの?
「ごめん、疲れてるの。今日ぐらいいいでしょ?」
「よくない! さっさと顔洗ってきなさい!」
「はーい」
はい、もうお母さんの勝ち!
私、もう降参!
とにかく、お母さんの言った通りに、顔洗おう。


「はあ、もう!」
私はため息をついてから、怒った。
なんでお母さんに、命令されるの?
私の人生は、私だけのものよ!
ああ、もう!
私はお母さんの、操り人形じゃないんだから!
ドスドスと音をたて、階段を下りた。
洗面所のドアをゆっくりと開けた。
まず、目につくのは鏡。
いつもなら、普通の私が鏡にいるはず。
でも。
「!」
鏡を見て、口をふさいだ。
水たまりにいた、血だらけの私が!
目をこすっても、いた。
水たまりの時は、無表情だった血だらけの私は、
ニヤリと怪しく、ほほえんでいる。
「ギヤアアアアアァァァッ!!」
絶叫した。
永遠に思えた時が、戻ってきた。