ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 落第魔女と魔法の日々 ( No.1 )
- 日時: 2009/09/22 08:52
- 名前: ベアラー (ID: ImGaYTGg)
突然、星の塔を大きな揺れが襲った。それと同時に、大砲を撃ったような音が響き、窓からもくもくと煙が噴出す。
それを見ていたアルシャンの住人達はそれぞれの仕事の手を止め、星の塔を見上げた。だが、まったく驚く様子は見せず
「ありゃま・・・・・・」
「また・・・・・・」
「ミラがなんかやらかしたな。」
と肩をすくめて呟いた。
しかし、それっきり星の塔が静かになると、また、それぞれの仕事を再開したのだった。
「ゴホッ!もう意味わかんない!」
ミラは、実習室の中に充満する煙に向かって叫んだ。すると、
「意味わかんないのはこっちだよ。ケホッ!」
「何で、ゴホッ!イー・ネクト[水を湯に変える魔法]でこんなになる訳?ケホッ!」
と煙の中から煤だらけになった少年少女が現れた。
全員恨めしそうな目でミラを見ている
「別にわざとやった訳じゃないんだからそんな目で見ないでよ!えっと・・・・・・」
そういいながら浄化の魔旋律を唱えるミラ。
「・・・・・・清らかに流るる大気の力よ、我に———」
「やめて〜!」
「———我に力を貸したまえ!エル・シェーン!」
ミラは周りの忠告に耳を貸さず、魔旋律を唱え終えた。すると・・・・・・
本日二度目の大きな揺れが、星の塔を襲った。
「うわ〜!」とか「きゃ〜!」とか「ミラの馬鹿〜!」とかいいながら、皆しりもちをつく。
しかも、ミラの周りの煙が紫色に染まっている。
それはだんだん近くの煙に伝染していき、あっという間に部屋に中は紫の煙でいっぱいになった。
「わ、わざとじゃないったら!」
ミラは弁解するように煙に向かって(正確に言えば煙の中の少年少女に向かって)叫んだ。そのとき、
「もし、これがわざとだったら、お前の事呪うぜ?」
部屋のドアが大きく開いて黒髪の少年が入ってきた。
少年は部屋の中の惨状をみると、くっと眉を尾吊り上げた。
「こりゃ、片付けが大変だな。」
ここは、東エルドラ大陸の王都アルシャン。この都には大きな魔法学校があった。
その魔法学校は星の塔と夜の塔に分かれており、いろいろな境遇の子供たちが通っていた。(もしくは寮から通っていた。)
これは、その学校に通う、とある少女の物語である。