ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 落第魔女と魔法の日々 ( No.10 )
日時: 2009/10/16 17:37
名前: ベアラー (ID: ImGaYTGg)

「みんな、ちゃんと掃除やってるかしら?・・・・・・心配だわ。」
 静かに足音を響かせながら、廊下を歩く女性。
 腰まである栗色の髪をサラサラ揺らしている彼女は、この学校で魔法史の教師をしている、アンナ・フローベルトである。

 彼女は今、彼女の担任のクラス、星組が掃除している・・・・・・はずの廊下に向かっているのだ。

 この学校の最下層にあるその廊下、特に何かがある訳でもなく、ただただ長い廊下が続いているだけなのだがこの学校が創られた時からある。
 今日は、新入生を迎えるためにそこを掃除させていたのだが・・・・・・
(な〜んか嫌な予感がするのよね・・・・・・)
 なんとなく身構えながら廊下を歩いていくアンナだった。


            ☆


 人生、こうゆう勘だけはよく当たるもので。
(・・・・・・・・・・・・やっぱり。)
 掃除場所についたアンナは心の中で溜め息をついた。

 廊下の中間あたりには、大きな人だかりが出来ていた。
 手に手に雑巾を持っていて、ついさっきまで廊下を掃除していました、という雰囲気だ。
「ちょっと、みんな掃除はどうしたの?」
 アンナが人だかりに呼びかけると、全員いっせいに振り向いた。
 同時に、中心から星組のトラブルメーカー、ミラの声が聞こえくる。

「せ、先生!大変です!!大変なんです!!!」
「大変なのはいつものことだと思うけど。」
 冷静に答えるアンナ。しかし、次に聞こえてきたイーグルの一言には顔色を変えた。
「誰か倒れちゃってるんですけど先生。」
「!?———どうして!?ちょっと退きなさい!」
 アンナは人だかりを掻き分けて中心に近づいた。

 中心にいたのは、ミラとイーグルと・・・・・・床によこたわる見慣れない少年だった。
「せ、先生!どうすればいいんですかっ!」
「どうするったって、こうゆうのは私の専門外だし・・・・・・」
 そっと男の子の額の手を当ててみるアンナ。
(熱は無いみたいだけど。)
「とりあえず、保健室に運びましょう。」
「合点了解しました、先生。」
 イーグルは男の子を担ぎ上げた。


            ☆


 数分後。
 男の子は無事、保健室に運び込まれ、ベットで寝ていた。

 もちろん、あの後星組の生徒達(特にミラとイーグル)は、アンナ先生にたっぷり尋問させられた。
 あの少年のことや、扉のこと、掃除をサボったことについて、だ。
 そのとき、ついでにミラは、扉が突然現れた事についてアンナ先生に聞いてみたが、それは先生もよくわからないらしい。
 なんとなくモヤモヤした気分で寮に帰ったミラ。

 その日の夜。
 ミラはベットの中でふとあることを思いついた。
(明日、あの子のお見舞いにいてみようかな。)
 いいことを思いついた、と心に中で笑うミラだった。


            ☆


 暗闇の中。
 全身に魔力をまとったものが目覚めた。
 それは、魂を貪り食らう悪魔。
 悪魔は、契約者の目覚めを感じた。
 そして、かすかに身じろぎし、静かに笑う。
「賭けは俺の勝ちだ。ギア、オマエは負けた・・・・・・!」