ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 落第魔女と魔法の日々 ( No.7 )
日時: 2009/10/04 17:25
名前: ベアラー (ID: ImGaYTGg)

「こら!喋ってないでさっさとやる!
 ほら、そこも!口よりも手、動かして!」

 ビシバシ生徒達を注意するミラ。
 不満そうに呟きつつも掃除を続ける生徒達。
 しかしそういうミラはただ見ているだけだ。

 雑巾掛けレースを途中でリタイアした者は、結局掃除全部をやらされることになった。
 石造りの廊下の長さは半端ではない。

 終わりの見えない廊下の先を見やり、星組の生徒達はため息をついた。


           ☆


 それから約20分後。
 ようやく、廊下の半分を掃除し終えた星組のせいとたちは、すでに体力を使い切ってしまったようだ。
 ぜいぜいと肩で息をしながらも残り半分の掃除に取り掛かる。

 その中で、掃除をしない人間が二人。

 もちろん、ミラとイーグルである。
 イーグルは何をするわけでもなく壁に寄りかかっている。ミラは廊下を歩き回り、少しでも掃除をサボろうとする人がいれば、びしっと注意していった。

 と、そのとき。
「ん・・・・・・?あれ・・・・・・?」
 ミラは石造りの壁にある、地味な扉に目を留めた。

 真っ黒でつるつるしていて、これといって何の装飾もない扉。
 だが、どこか怪しげな雰囲気を漂わせている扉だ。
「ん〜?何あれ?———
 イーグル!ちょっと!」
 ミラは廊下のどこかにいるイーグルを呼んだ。
 声は廊下に反響して何倍にも大きく聞こえる。

 しばらくするとイーグルのめんどくさそうな声が、これまた反響して聞こえてきた。
「なに?・・・・・・また魔法でなんかやらかした何て言うなよ。」
「そんなこと言うわけないでしょ!
 そうじゃなくて、あれ。」
 ミラはあの真っ黒な扉を指差した。
 イーグルは、
「何だあれ?俺も知らないぞ。」
 といいながら扉に近づいた。ミラもそれに続く。

 いつのまにか、星組の生徒達は全員、扉の周りに集まっていた。ミラは慎重に、扉に手を伸ばす。

「・・・・・・気をつけろよ。この扉、魔力を感じる。」
「分かってる。」
 イーグルに必要最低限の返事を返しながらそっと扉に触れるミラ。
 魔法にかかっている物を下手に動かすとどうなるかは、失敗経験の豊富なミラが一番よく知っている。

 しかし、ミラが扉に触れても何も起こらなかった。
 今度は、扉を軽くノックするイーグル。
 しかし何も起こらない。

「・・・・・・よし。開けるぞ。」
 イーグルは意を決したように呟くと、扉の取っ手に手をかけた。
 ゴクリとつばを飲む星組の生徒達。
 イーグルはかすかに真っ暗な扉を開けた。そのとき。

「うわぁ!」
 扉の隙間から光が溢れ出した。