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Re: 白銀の時計と黄金の唄 ( No.28 )
日時: 2009/09/28 22:07
名前: うみねこ (ID: 1SYkI3To)

第9話

「日本から誘拐されてきたなんて、可哀相だよね」

エミリアが、汐音の傷の手当をしながら言った。
丁寧に包帯を巻いていく。

「・・・あはは。そうですかね?」

「無理しなくていいよ。どうして誘拐されたの?」

「わたしの持っているあるモノが目的らしくて・・・」

「あるモノ?大切なモノなの?」

先祖から伝わる家宝なんです、と言いながら汐音はポケットの中を探る。
ポケットの中から出てきたモノ・・・

「・・・?!え、これ・・・!」

「知ってるんですか?でも、綺麗ですよね?」

ニコリ、と笑いながら汐音はあるモノを持つ。
そのあるモノとは、綺麗な白銀の時計だったのだ。
・・・白銀の懐中時計。
兎と満月が彫られている白銀の、懐中時計。

「エミリア・・・!これ、は・・・!」

「そうだよ、ユーリー・・・そう、そうだよ」

エミリアとユーリーは、とても驚いた顔をしている。
そして、エミリアは近くにあった引き出しから、何かを取り出した。

「・・・?!え、え?嘘ッ!」

「これはね、ダウストリア家の家宝なの」

エミリアが取り出したのは、同じ白銀の懐中時計。
剣と羽が彫られている。