ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の時計と黄金の唄 ( No.4 )
日時: 2009/09/21 21:44
名前: うみねこ (ID: 2N4onKWr)

第2話

「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」

薄暗い道を必死に走る少女がいた。
右腕には、包帯を巻いているが血が滲んでいた。
ただ、ひたすら走る!
嫌だ・・・わたしは死にたくない!

「・・・!行き止まり!嘘ぉ・・・どうしよう!」

一生懸命走って逃げたのに・・・行き止まり?!
そんなぁ、嫌だ!絶対に逃げ切るんだ!
この少女の名前は、朝日奈汐音。日本人だ。
何故ヨーロッパにいるのか?
それは、すぐに分かる。

「見つけたわ、シオン!わざわざ日本から引きずってきたというのにね」

「わたしは嫌。死にたくない!死ぬものか!」

そう言って、汐音は銃を取り出す。
汐音は日本から、誘拐されて来たのだった。
長い黒髪が、風になびく。

「・・・撃てるの?撃ってみなさいよ!クスクス!」

「うるさいッ!この・・・人殺し女ぁあッ!」

銃を持つ手が、ガタガタと震える。
・・・撃てない。
あぁ、もう!なんて臆病なの!
少女は自分の臆病を呪った。

遠くで、教会の鐘が鳴り響いた。
白銀の時計が、貴方へ時間を知らせます。