ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 真夜中アリス。 ( No.6 )
日時: 2009/09/23 22:03
名前: 刹羅 ◆vO9khbBV3w (ID: O.mDLNUw)

* 02

“兎さん、兎さん、そんなに慌てて何処へ行く?”

 好奇心からやって来た、愚かな愚かな少女達。
 自分を呼ぶ声も、周りの景色も消え失せて、視界にあるは兎だけ。
 穴へ足を踏み入れて、叫び声が木魂する。

 ——彼女の世界は反転した。


「……あ…………?」

 自分の口から、声が漏れるのを感じた。

 目は、視界がかすんで見えない。
 次に頭を覚醒させるのは、全身を襲う激しい痛み。
 私は顔をしかめながら、やっとのことで上半身を起こした。

 まだ何となく頭がぼうっとしてるし、体はヒリヒリして関節が悲鳴を上げている。
 私は目をパチパチさせながら、視界のもやを取り除こうとした。

(……あれ?)

 見渡す限り、そこは『闇』だった。
 私は目をこすり、もう一度よく見る。……が、やはり見えるものは変わらなかった。
 夜。明らかに夜だ。
 
 月光に浮かび上がる景色。
 それは、コンクリートのような地面に、ベンチ、そして線路……

「駅!?」

 私は声に出すほど唖然とした。
 そして、月光と思ったものは、実はずらりと縦に並んだランプだったことにも気づく。

(あたし、駅になんか行ってないよね……?
だって、学校が終わってから——……)

 
 学校が終わってから──…………?