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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Lvrtia ( No.1 )
- 日時: 2009/11/07 13:41
- 名前: Zero ◆jChV7AGnnI (ID: LpcnUUvD)
1.命日の夜
満月の夜。
銀色に光る白い花の咲く花畑に少年は居た。
冷たく射す月光が少年を照らす。
少年は、ただ月を見上げ、見つめていた。
思い出したくないから——————。
考えたくないから————————。
だから、ただ見上げていた。
流れてくる風が銀色の髪を乱し、少年の視界を遮った。
悲劇から丁度3年。
今日は命日だった。
今でもリアルに思い出せる。
血の色、笑い声、悲鳴、異臭——————。
怖かった。
「母さん—————」
少年は呟いていた。
今でも罪だと思っている。
母———ディスイスカ城の王妃・ラフィアは、少年———レキをかばって、ビルバレード国の民に射殺された。
「生きて——————レキ」
それが最後の言葉だった。
レキは指笛を吹いた。
笛の音が月夜のこの空間に響く。
その時、後ろの扉が開く音がした。
「レキ」
父・シリオンだった。
レキは振り返るとシリオンを見た。
「何」
レキは訊ねた。
するとシリオンは紙飛行機を飛ばし、中へと戻っていった。
レキは紙飛行機を掴み、開いた。
(お前が独りで泣いているのではないかと思っただけだ)
紙にはそう書いてあった。
「紙の無駄遣いだな・・・・・」
レキは呟いた。
レキは部屋に戻る事にした。
今日はもう遅い。
明日は復興祭が行われる為、早く眠らなければならないのだ。
レキはそんな事を考え、部屋へと入った。
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