ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜アドバンス〜こっちが本物 ( No.1 )
- 日時: 2009/09/23 19:35
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯0 プロローグ
現在、2030年。
世界は特に進化することなく、普通の生活をしている。
‘普通’の人間は平和に暮らしている。
あくまで‘普通’の人間が・・・・
しかし、その反対に‘普通’ではない人間も存在する。
**********
ウゥーーーー!! ウゥーーーー!!
ロシアの北 コテリヌイ島
この島の森の中には長方形の大きな黒い建物が立っている。
その黒い建物から警報が鳴り響いていた。
「脱獄だ!!実験体89番が脱獄した!!能力はライトニングだ、全員気をつけてかかれ!!!」
警報に紛れて男性の声が森に響く。
「はあはあ・・・・」
全身青色に縦に白いラインが入った服を着た青年が森の中を裸足で駆け抜ける。
息を切らして、ただ前に向かって走る。
「いたぞ!!あそこだ!!」
男の声と犬の遠吠えが後ろから聞こえる。
恐怖と寒さが青年を追い詰める。
「やだ・・・・やだ・・・・・・」
青年は森を抜けると木の葉で埋め尽くされた車道を一気に下る。
ここを降りれば港だ。でも待ち伏せされているだろう。
青年は再び森の中へと入り、港が見えると茂みの中に隠れて様子を伺う。
港には大型船が5つ、小型船が10つ、近くにはヘリが3機ある。
「大型船か・・・・・」
青年はすぐに決め、大型船に向かって走り始めた。
周りには人一人いない。自分のことを追いかけるために施設に向かったのだろう。
青年は船に飛び移り、開いていたコンテナの中へと逃げ込んだ。
中には木箱や鉄の箱が置かれてある。
「はぁ・・・・。ここまでくれば・・・・・」
「逃げれるとでも?」
青年はその声に驚きコンテナのドアに振り向く。
ドアの前にはスーツを着た男性とギターを背負っている男性がいた。
「あっ・・・・・あっ・・・・!!!!」
青年は驚きと恐怖で足が動かない。
「テレンス、こいつを殺せ。」
スーツを着た男性がテレンスに向かって言った。
「分かった。」
テレンスは青年にジワリジワリと近づく。
青年は後ろに下がるが木箱にぶつかった。
コンテナの中では逃げ場がない。
「死にたくないよ・・・・・」
「無理だ。施設から逃げるなんて・・・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
青年は雄たけびを上げながら両手から電撃を出す。
「なっ!!」
テレンスは電撃を体全部で受け止め海の方まで飛ばされた。
しかし、スーツを着た男性は顔色変えずに青年を見つめる。
「君しかいないな。」
男は青年に近づくと肩に触れた。
「日本に逃がしてやる。復讐をしにまたここに戻れ。」
男がそうつぶやくと、青年はその場から一瞬にして消えた。