ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜アドバンス〜 ( No.4 )
日時: 2009/09/24 12:10
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

♯1   少女と青年

「うぐっ・・・・」

青年は頭をさわりながら目を開けた。

木と木の間から日差しが差し込んでいる。

「ここは!!」

青年は素早く立ち上がり周りを見わたす。

周りは木だけ。コテリヌイ島ではない、寒くないぞ。

青年は自分の手を見ると、手のひらサイズの電気の球を創り出す。

こんなの能力がなければ、奴らに捕まらなかっただろう。

人生も滅茶苦茶だ。

青年はフフッと笑い、上を見上げる。

ちょうど前方に山がある。山頂が雪に覆われてとてもきれいだ。

青年が山に見とれていたその時だった。


「ねぇ。」


青年が後ろを振り向くと、そこには灰色のパーカーに青色のジーンズというボーイッシュな服装をした女の子がいた。

「ここでなにしてんの?」

女の子は青年に近づく。

「え?あ・・・、えっと・・・・」

青年は真実を話そうとしたが、やめた。

「あんたも自殺?」

「は?」

青年はその言葉に唖然とする。

「樹海に来れば大半が自殺しに来た人だよ。ま、私もそうだけど。」

女の子は悲しそうな顔をした。

「なんで、自殺を・・・・」

「私、小学校の頃から変でさ。いつも‘化け物’とか‘宇宙人’っていわれてたんだ。」

女の子はその場にしゃがみこみ、ズボンのポケットから縄を取り出す。

「超能力・・・・」

「え?」

「あっ、いや、なんでもない。自殺は駄目だよ。」

青年は女の子の隣にしゃがみこみ、女の子の肩をポンと叩く。

「僕も最初はそうだった。だけど、生きる理由が出来たから自殺は止めた。君は本当に自殺するのか?」

「私には味方がいない。家族も友達も先生も全員私を裏切った。生きていても味方がいない。私はずっと孤独なんだよ。」

青年は女の子の悲しげな顔を見て涙を流す。

「そうか。別に止めやしないよ。」

青年は涙を拭きながら立ち上がる。

「どこに行くの?」

「さあ?ここがどこかも分からないし、とりあえず‘ジュカイ’っていう森から抜けるよ。」

青年が真顔で言うと、女の子が不思議な顔をした。

「なにいってんの?樹海は樹海でしょ?」

女の子はクスクスと笑う。

その時、青年はある言葉を思い出した。



━日本に逃がしてやる。復讐をしにまたここに戻れ━



「まさか・・・・」

青年は女の子に再び近づくと質問した。

「ここは日本か?」

「?そうだけど。あんた、さっきから何言ってんの?」

女の子は立ち上がり青年の前に立つ。

「俺は、ロシアのある施設から逃げてきた。」

青年の突然の告白に女の子は口をあけてポカン状態。

「はい?」

「俺は、ロシアに戻る!!」

青年は森の中を駆ける。




「俺は!!奴らに復讐するんだ!!!」