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Re: 疾風の魔術師 ( No.6 )
日時: 2009/10/02 14:32
名前: 小鳥 (ID: nWEjYf1F)



ある日の事。ユリヤが言った。
「姫様!ピアノのお稽古の時間ですよ!」
「うるさいなー。ユリヤこそ、小さい声のお稽古・・・・・・っていうか訓練すればいいのに」
わたしが言うと、ユリヤは苦笑いしながら
「お稽古は大事なものなんですから・・・・・・。ささ、姫様。お稽古の準備を」
と言った。
「うるさいって言ってるでしょ!奥さんと別居してるくせに!」
「う・・・・・・」
わたしの指摘に、ユリヤは身じろぎ、半泣き状態になってしまった。
さすがに言い過ぎたかな、わたしはそう思い、仕方なくピアノのお稽古の準備を始めた。

国家軍人大佐・ファイアルの秘書であるマリオネットは、実はピアノ講師の資格を持ってたりする。
「はい、姫様。ちゃんとピアノの練習はしてきましたか?」
マリオネットが尋ねると、わたしは元気よく、
「はーい!」
と返事をした。
「そうですか。それでは、一昨日の続きからやってみましょうね」
すると、わたしがいつも持ち歩いてる、お母様の形見のステッキとお人形が、いきなり光り始めた。
「わっ!マ、マリオネット・・・・・・。何これっ」
わたしがマリオネットに言うと、マリオネットは、
「私には分かりかねますが・・・・・・」
と、首をかしげた。
「そ、そうだよね・・・・・・っ」
わたしが行ったとたん、いきなりステッキとお人形が飛び上がった。
「き、きゃああああああ!」
「姫様、落ち着いてください!」
マリオネットは、わたしの肩に手を添えて言った。
その瞬間だった。
予想もしない出来事が起こったんだ。
「・・・・・・おいチャンゲル。私たちは戻ったのか?」
「んなわけねぇだろフェアリー。動けるようになっただけだ。あ、声も出せるな。あいうえお」
そう、ステッキとお人形が、喋りだしたんです・・・・・・!