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Re: 怖い物語〜短編集〜 ( No.7 )
日時: 2009/10/03 09:56
名前: 勇人 ◆NC1AxUg.ec (ID: DrxGkANi)
参照: 元、紅だけど何か?

「君は誰?」

ねえ、ドッペルゲンガーって知ってる?
え、知らないの? じゃあ、教えてあげる。
ドッペルゲンガーってのは、もう1人の自分。
この世のどこかに、いるんだって。
ドッペルゲンガーは、自分と見分けのつかない程似てるけど、違うところが少しだけあるんだ。
まず性格。
とっても優しい人のドッペルゲンガーは、とっても意地悪なの。
逆に、とっても意地悪な人のドッペルゲンガーは、とっても優しいの。
簡単に言えば、性格が全く逆なんだ。
だから、もしお姉ちゃんがいたとするよ?
そのお姉ちゃんは、とっても優しいの。
そのお姉ちゃんのドッペルゲンガーは、とんでもなく意地悪ってわけ。
で、次は見た目。
さっき、自分と見分けのつかない程似てるって言ったよね?
でもどこかにね、見た目でも違うところがあるの。
例えば、目の色。
もし、私の目が濃い茶色だったら、私のドッペルゲンガーは、エメラルド色の目だったりするの。
そして、黒子とか。
私には、黒子なんかないのに、ドッペルゲンガーには、黒子があったり……。
そして最後。
これは違うところじゃないけど……。


自分のドッペルゲンガーと出会ったら、弱い方が死ぬんだって……。
さあ、これで説明は終わり!
では、私が死んだときの話をするよ……?

「おはよー!」
いつも大人しいはずの美里が、元気よく、私に挨拶する。
「お、おはよ……」
私は驚いて、小さい声で挨拶した。
……なんか美里、いつもと違う……?
ううん、考えすぎだ。
きっと今日、なんか嬉しいことがあったんだろう。
例えば、とても元気で可愛い赤ちゃんが産まれたとか。
まあ、いつも通りに接しとこう……。
「ねえ、美香」
「なあに?」
「今日、体育楽しみだね〜!」
「……!」
背筋が凍りつく。
嘘だ! なんで体育が嫌いな、美里が!?
やっぱりいつもと違う!
何かあったのか!?
それとも……!?
ううん、やっぱり考えすぎだよ……。
やっぱり気分がいいんだ。いつもと違って。
なんだか、昨日マラソンして楽しかった〜……とか。
ふと目を見てみる。
「……!?」
嘘だ! これは嘘だ! 幻覚だ!





美里の目が……、血のような赤になっている……!
「ねえ、美里……」
「ウフフ、なあに、美香?」





「あなた……誰?」
「……え?」
美里は目を見開いている。
「あなたは、誰なの? ……あなたは、美里じゃない。誰?」
「じゃあ、あなたこそ美香じゃないわ」





え?
「本当の美香はここにいる……」
美里の指差す先には……!









血に染まった目をした、私……!!



「今、楽にしてあげるから」