ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 紅—異世界と現実人間の生活。— ( No.3 )
- 日時: 2009/10/03 14:24
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: aza868x/)
序話Ⅰ
閑静な住宅街。
その内の1軒の家。
電気が付いていて、まだその家では活動が行われている。
しかしその活動は、一般人が行う行動ではない。
そう、彼等は『殺し屋』だった。
依頼が来てから、殺人を行う——
それが『紅葉』と言う組織だった。
その組織は、恨みのある者の依頼しか受け付けない。
どんな依頼——恨みが込められていたら、やらなければならない。
「……今週の依頼は30件だよ」
「恨みって尽きないよな。呆れる」
青色のチェックシャツに、迷彩柄と言うファッションセンスは壊滅的——そんな外見を持つ少年は静かにそう言った。
そしてその言葉に対して、呆れる少年。
左耳に蜘蛛のピアスを付け、黒い長袖とジーンズを身に付けていた。
「あれ? あの針女は?」
「イーラは散歩だよ。あの子は殺人を行わないから」
深緑の髪をクルクルと指で弄りながら、その少女は言った。
その質問に答えた少女は、依頼の白い髪を手に取り、それを見ながら答える。
「あ、俺コイツ殺って来るから」
黄緑の短髪の少年が、笑顔でそう言った。
しかし左耳に蜘蛛のピアスを着けた少年は言う。
「依頼者に会ってから殺れよ。面倒くさいから、俺は寝てくる!!」
「カケル、お前本当に自由人だよな」
一旦切ります。
- Re: 紅—異世界と現実人間の生活。— ( No.4 )
- 日時: 2009/10/04 12:04
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: aza868x/)
続きです。
「お前の方がそーだろーが! お前戦闘好きっつって依頼何個もやってるじゃん。——リン」
「へいへい、すんませーん」
黄緑色の短髪の少年——リンは、カケルの小言を聞きたくなさそうに適当に答える。
しかし落ち着いた声が、部屋に響き渡る。
「……依頼行って来るから」
水色の瞳、澄み切った青空の様な色の髪。
しかし対照的に首には紅いスカーフが巻いてある。
そして今は残暑の季節なのだが、彼女は長袖と長ズボンを着用している。
「えッ、アオ早すぎる——」
「——茶番を繰り返したくないんでしょ?」
白衣を着た少女が立ち上がった少女を、頬杖を付きながらそう言った。
「…………そうよ」
「んじゃ、行ってらっしゃい。私も行って来ます〜」
2人の少女は出て行った。
「……ほら、俺よりも自由人がいるだろーが」
「記憶力の無いリンには言われたくないね、その発言」
冷たく跳ね返したのは、暗い栗色の髪を持つ少年だった。
茶色の瞳が、リンを冷たく見つめている。
「……ロィラ、一遍殺すか!?」
「ご自由に」
「んじゃ、今から殺ってやるよ……」
そう言って、リンは先が尖ったブーメランを少年——ロィラの頭に投げつける。
しかしそれを素手で受け止める。
素手で受け止めたので、血が流れている。
「……痛いな……」
右手から出ている血を、ロィラは舌で舐める。
その舐め方は、まるで吸血鬼の様だ。
しかし瞳は暗く、濁っている。
*
「——……そう」
「あいつっ、私の大切なお姉ちゃんを殺したの! それでノコノコ生きてるのがムカつくの……だから、殺してっ」
黒い髪の少女は、怒りを露にしながらそう言った。
アオは落ち着いた口調で言った。——慣れているように。
「殺す事は出来るわ。でも……紅葉は大切なものを代償とする」
「大切な……もの?」
彼女は首元に下がっているネックレスを取った。
そしてアオに見せ付ける。
「これ」
「——?」
「私のお姉ちゃんの形見なの。——だから……」
「……分かったわ」
アオはそのネックレスを取り、そして歩き出す。
しかし一度だけ振り向いた。
「……貴方の依頼、受け取りました」
*
「……げぇっ、ゴホッ……」
「無様だね」
そう言って、白衣を着た少女は腕組みをしながら微笑を浮かべる。
血を吐く少女を一瞥しながら。
「あたしが……何したんだよっ?」
「え? あぁ……いじめてたでしょ」
「それが……!? ひっ、いや……」
「自殺させたんでしょ? その子の弟がアンタに恨みを持った。当たり前でしょ。あの弟さん、お姉さんが唯一肉親だったんだから」
「ヒッ……う、嘘でしょ……お、お願い、助けてっ!」
しかし少女は命乞いをする少女を蹴った。
「——今更命乞い? だったらあのお姉さんをいじめなきゃ良かったのに。美人だから? そんなの、努力して手に入れなよ」
「いや……おっ、おねが……」
「さてと、最後の仕上げと行きますか」
少女はそう言って、血の吐く少女の口を無理やり開けた。
粉末状の物を入れると、少女はさらに血を吐く。
地面を紅いものが汚していく。
「……青酸カリって死ぬんだよ? 致死量超えたらさ」
「や…………生きたい……よ」
「無理に決まってるでしょ? アンタは殺した。私も殺人犯ですが……」
少女は力を失っていて、頷く事も出来なかった。
うつ伏せになり、震えている。
「いじめる理由が“美人だから”……意味わかんないよ、アンタ。じゃあね、そして死んでよ」
少女の動きは止まった。
うつ伏せになり、そして死んだ。
「——弟さん」
「……有難う……姉の無念を晴らせた」
「そうだね。強く生きて」
「ハイ」
「……けして、私達の道を走るな」
そう言って、少女は少年の頭を撫でて去って行った。