ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:       紅—異世界と現実人間の生活。— ( No.6 )
日時: 2009/10/06 20:49
名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: aza868x/)

序話Ⅲ



「……ターゲットの場所は此処」


たどり着いた場所は豪邸。
一般人の誰が見ても、一発で分かる程の豪邸。
庭は広すぎる。


1人で住んでいるのか?
ボディーガードは……居ない。


そしてアオは木に登ると、背中にあるリュックから縄を取り出した。
縄の先を丸にすると、ベランダ近くにある物干し竿に向かって投げつける。
そしてベランダに飛び移った。


「……」


アオは溜息を付くと、電気が付いている窓の前に立つ。
リュックから今度はハンマーを取り出した。
そして勢い良く窓ガラスを叩き割る。


「……!! な、何だ!?」



案の定、男は驚く。
髭は生やしていないが、髪はボサボサだった。
世間がこの姿を見たら、どんなにショックを受けるのだろうか。


「……貴方を、殺す」
「は? 俺を殺す!? 出来る訳……ぎゃぁっ」


アオは堂々と部屋の中に入り込む。
そして男の目に刀を刺す。
男は悲鳴をあげる。
アオはその悲鳴に構わず、言い捨てる。


「——恨みがあれば、“紅葉”は殺す。依頼もこなす……貴方は大切な原稿を自分の作品と偽って、販売した。そして……プロットも奪った」
「! ま、まさか……」
「——あの兄妹さん。……その人達の依頼」
「ふ、ふざけるな! 何が悪い、作品を奪う事が!」


アオはまた溜息を付く。
——それは呆れと言うもの。


「……あの妹さんは、たくさんの人に、小説を読ませたかった。それなのに、貴方は……名誉の方を大事にし、勝手に盗む。——卑しい」
「は……? お、お前何で刀を取り出してるんだ!? 銃刀法違反だぞ!!」


アオは刀を取り出す。
鞘から取り出した刀は、不気味に光っている。


「——著作権違反なのは、貴方じゃない? 今となっては無理だけど……殺すわ」
「ま……待ってくれっ!!」
「……自分の利益の為に、人の大切な物を盗んだ……だから私は、殺す」



そう言ってアオは、男の肩に刀を刺す。
男は悲鳴をあげた。
そして腕、足、腹、胸——身体のあらゆる場所に刺していく。
返り血は彼女の陶器の様な肌に付く。


男は死んでいた。
アオは仕上げに包丁を取り出すと、男の顔に刺した。
部屋は血だらけだった。


「……奥さんに疑いがかかるわね」


そうボソリと呟くと、彼女は立ち去った。



*


「ただいま〜」
「ビィナラ、お帰り。どうだった?」


白衣を着た少女——ビィナラは頭を掻きながら言った。


「まぁ馬鹿な奴だったよ。命乞いなんかして、意味分からないから。……だったら最初からするなって感じ……あ、アオお帰り〜」


アオは無言で椅子に座る。
そう、此処は彼等が会議をする場所。


「どうだったの? 通称“氷の刀使い”さん?」


深緑の髪を持つ少女は、笑いながら言い捨てる。
アオは少女に冷たい視線を送りながら言った。


「……貴方には関係ない。——次は貴方よ、レイラ」
「チェ」



こんな事は日常茶飯事だった。
しかし——









          この日常が360度回転するとは誰も思わなかっただろう。