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Re: 桜蘭戦士伝——ouran-senshiden  04話あぷー ( No.21 )
日時: 2009/10/09 16:58
名前: ☆:.:苺羅:.:☆ ◆RP4/4zHHbo (ID: fQl/VR.0)
参照: 時は大正、世界を滅ぼそうとしている組織が存在した——by桜蘭戦士伝

*05




 「……で、頼みたいことってなんなんだ?」

 まずはじめに龍夜がその話に食いついてきた。桜は無表情で口を開いた。

 「簡単にいうと、貴方達に桜蘭戦士をしてほしいのですわ。書物を見た限り、今年の12月15日に悪の組織が帝都に君臨して、地球破壊計画を実行するらしいの。……そこに桜蘭戦士が現れたけど、全員死んでしまって、その計画は誰にもとめられなかったらしいの」

 桜の言葉に、私達は震えだした。戦ってどうやら死んでしまうのだ。それだったらそんなことしたくない。

 「貴方達ならこの未来を変えれるはずなの! ……じゃないと2026年に地球は滅びてしまうわ」
 
 桜はどうやら、私達に桜蘭戦士を絶対にやってもらおうと思っているらしい。
 だが誰1人として賛成するものはいなかった。
 それどころか反対意見が発生した。

 「そんなのどうだっていい! 2026年とか俺らの世界でもまだ先の話だし。なんで過去にきてまで死ななきゃならないんだよ!」

 優志は普段、怒鳴ったりはしないが今回ばかりはレストラン中の客が注目するほど大きな声を出した。
 桜は「あ」と呟いて、申し訳なさそうに俯いた。

 「……でもやってみないとわからないんじゃないかな」

 優志の怒りとは裏腹に、そんな声をあげたのは康義であった。
 みんなの視線は一斉に康義にそそがれる。
 それに気付いたのか、康義は「あっ……」と小声で恥ずかしそうにいった。

 「……そうだな、もしかしたら変えれるかもしれねぇし」

 孝文が眠そうな目から真剣なまなざしにかえて、そういった。

 「僕、桜蘭戦士をやってみたいなー」

 辰雅も賛成の声をあげた。

 「俺も……悪の組織を倒してみせる」

 普段クールな龍夜も、今回ばかりは燃えているそうだ。
 というかきっと、この人たちの脳内ではゲーム感覚でしか考えてないのだろうけど。

 「ありがとうっ……皆さん。悪の組織のボスは、どんな夢でも叶えられるドリームマジックという機械で滅ぼそうとしているの。ボスのように、悪の願いは桜蘭戦士が全員死ぬことによって、悪玉が生まれてそれを機械にいれるとかなえることができる。善の願いは、ボスを倒したことによって善玉が生まれて、それを機械にいれると叶えられるの」

 「つまりはボスを倒せばいいんだな……?」
 ようやく、賛成した優志が桜に尋ねた。
 「ええ。でもいきなりだと勝てないから、そこらへんにる部下を倒してレベルアップするの」
 「なんかゲームみたいで面白そう!」
 孝文が立ち上がって、陽気な声でそう叫んだ。

 「じゃあ貴方達に、かつて江戸時代の桜蘭戦士が使っていた剣を渡すわ」

 そういって桜は人数分、昔使われたという剣を渡した。





 「はぁ」

 私はレストランから出るなり、ため息をついた。
 そのときである。後ろからドスの聞いた低い男の声が聞こえた。

 「桜蘭戦士の子孫、七瀬香織殿。覚悟じゃ!」

 びっくりして振り返ると、そこには黒づくめの男が私に剣をもって襲い掛かった。